キャラクターが魅力的な作品はコミックが売れやすくなるという話

<注>この記事はエッセイ系の漫画には当てはまらない話です。

出版社を介してコミックを出している人にしろ、kindleなどで自分で漫画を出している人にしろ、今回お話するように『キャラの魅力で読者の心をきちんと掴んでみる』という事に力を入れるのは、コミックを売れやすくするために特に大事だと思います。

漫画は何らかの要素で読者の心を鷲掴みし、それでコミックを買わせるという風になっています。
ストーリーがかなり面白いとか、ギャグがずいぶん笑えるとか、読んでてすごい癒されるとかありますが、「キャラクターが魅力的である」というのもあります。

SNSでバズったショート漫画が雑誌や漫画アプリなどで本格的に連載した場合、キャラがきちんと魅力的な作品はそのまま読者が付いてきてコミックの売れ行きが好調になりやすい。
しかしキャラの魅力が弱い場合はなかなかコミックが売れなくて苦戦する事が多い。
「無料なら楽しむけど、金出してコミックを買うかというと……」みたいな事になってしまう。

<キャラにはまるとコミックが買いたくなる>

漫画の中に登場する特定のキャラに一度はまると、その読者はコミックを積極的に買うようになるし、作品やそのキャラをSNSなどでより広く布教(推し活)してくれるようにもなります。
しかしキャラの魅力が弱い作品はそういうブーストがかからなくなってしまいます。

また、最近は出版社のサイトや漫画アプリで漫画をスタミナチケット制で無料で読めてしまえるわけですが、無料読みでストーリーを一度体験するとコミックを買う動機が結構弱くなってしまいます。
エンタメというのは一度体験した事は楽しみがずいぶん薄れてしまい、その状態で金を出してコミックを買わせるというのはなかなか難しい。

でもキャラにはまった人の場合はそのキャラを繰り返し楽しみたいという動機があるので、ストーリーをすでに体験していてもコミックを買ったりします。
漫画アプリなどで連載している作品もキャラがしっかりと魅力的な作品は比較的コミックが売れやすく、キャラの魅力が弱い作品はアプリ上ではコメントやPV数はそこそこ稼げても、コミックの方はなかなか売れず苦戦したりするわけです。

雑誌や漫画アプリで連載している人はもちろん、出版社を介さず自分でkindleの電子書籍で漫画を出していく人の場合も、キャラの魅力で読者の心をしっかりと掴むように意識してみましょう。
最初の巻でキャラにしっかりはまらせると続刊も読んだり買ってくれやすくなります。
 
kindleインディーズで作品を出し続けている人にとってもそのシリーズのダウンロード数が好調になるでしょう。
kindle unlimitedで作品を読ませる場合も、読んだ人がいずれかのキャラにはまると改めてkindleで金を出して買ってくれたり。

<キャラにはまらせるために必要な要素>

読者をあなたの漫画のキャラにはまらせるには色々な要素が必要となってきます。

・魅力的な作画になっているかどうか?
・魅力的なキャラデザインになっているかどうか?
・話の中でキャラの魅力を引き出すエピソードをきちんとこまめに入れているか?

この三つがいずれも欠けず成立していないと読者はきちんとキャラにはまってくれません。

<画力や画風によってキャラの魅力はずいぶん変わってくる>


漫画というのは作者ごとに色々な画風があるわけですが、キャラが魅力的に見える画風の人もいれば、どうもぱっとしない画風の人もいます。

目の瞳やまつげなどの作画をあっさりした感じで描く人もわりといますが、こういう作画はキャラの魅力を引き出すという点ではやや不利とも言えます。あっさりめな作画でもキャラが魅力的に見える漫画家もいますが。
魅力的な瞳の作画方法、まつげなどの作画も丁寧に行うなどで、絵を見るだけでもキャラに引き込まれるような作画を目指してみましょう。

「自分の画風はこんなもんだ」とは思わず、より魅力を感じる顔の描き方を模索する事は出版社を介してコミックを出している場合も、自分でkindleで電子書籍を出していく場合も、いずれも本の売れ行きを増やすために大切な事と言えます。
 
漫画家の多くは画風をどんどん変えていってより魅力的になるよう日々模索しています。
現時点の画風がすでにきちんと魅力的な場合はともかく、どうも自分でも魅力が弱いと思ったら、画風の進化や変更は是非積極的に行ってみるべきです。

<画力が高くてもキャラデザインで失敗している場合が結構ある>

画力が高かったり画風が魅了的であっても、キャラデザインがいまいち上手くいかなかった場合は読者がキャラにはまりにくくなります。
髪型、顔立ち、身長や体形、アクセサリや服装などでより読者がはまるデザインにしてみましょう。
特定の属性の人に刺さるキャラの場合、その属性の良さをしっかり引き出すキャラデザインを目指してみるべきです。

<エピソードでキャラの魅力をきちんと引き出しているか?>

画力が高い、画風も魅力的、キャラデザインも上手くいったという事でも漫画の中でそのキャラの魅力を引き出すエピソードがあまり無いとキャラの良さが伝わってきません。

ストーリーを進める事ばかり優先して、キャラに読者がはまるようなシーンがあまり無いと、キャラが物語のためだけに存在している感じになり読者はいまいちキャラにはまれなくなってしまいます。

キャラに読者が惚れてしまうようなエピソードも合間合間に入れていってみてください。
昔からある水着回や温泉回というのも読者がキャラにはまるためのエピソードの一つとも言えます。


<コンビや三人、四人セットで出してみる>


読者によってどういうキャラが受けるかはずいぶん変わってきます。
おっさんキャラにはまる人もいれば、若い男にはまる人、幼い少年にはまる人もいれば、妖艶な女性キャラが好きな人、ロリキャラが好きな人など色々いるでしょう。
読み手の性別や性的な嗜好でも好みのキャラというのは違ってきます。

読者によってはまるキャラは様々なため、メインキャラが一人というのではなく常にコンビで出すとか、常に三人や四人セットで登場させるとより多くの読者の心を掴みコミックが売れやすくなります。

たとえばコンビの場合は渋いおっさんキャラとロリキャラがメインキャラとしてセットで登場すると、渋いおっさんが好きな人、ロリキャラが好きな人の両方の読者の心を掴めるでしょう。
コンビの組み合わせは年齢や性別などで色々な組み合わせが作れるわけです。

またメインキャラが三人や四人だともっと多くのバリエーションで色々な読者をはまらせてコミック購入に誘導できるでしょう。
人気の漫画を読み返してみると、「色々なキャラのセットをメインで登場させ続けている」というのに気づくはずです。

メインキャラとはまた別に話ごとに違う属性持ちのキャラも時々登場させ、もっと多くの人を作品にはまらせたりも。
人気が高いサブキャラは登場回数を増やしたり、メインキャラに昇格させたり。


<読者層を想定してキャラを決めてみる>


女性読者が多い雑誌やサイトで漫画を連載する場合、その読者層に受けそうなキャラを登場させないとなかなか作品が受けにくくなります。
また逆に男性読者が多そうな雑誌やサイトで連載する場合は男受けの良いキャラを出していく、みたいな事が必要となるでしょう。

kindleで自分で漫画を出していく場合も自分の作風によって付いてくる読者のタイプがずいぶんと違ってきます。
男性読者が多そうだと思ったら男受けのキャラを、女性読者が多そうだったら女受けのキャラを、みたいにSNS上での反応を確認してどういうキャラを出していくかを決めてみてはどうでしょうか。


「キャラが魅力的だとコミックが売れやすくなる」という話は昔から言われてきた事だし、漫画雑誌やアプリで連載の方は編集者から繰り返し指摘される事でしょう。
しかし自分でkindleで漫画を出していく人の場合、この重要な事に気づかずに漫画を出し続けて、コミックがなかなか売れなくてずっと苦しむみたいな事があります。

キャラの魅力以外にも何か強力な魅力がある作品ならともかく、そうでない場合は読者がよりキャラにはまるような魅力的な作画、キャラデザイン、キャラにはまるようなエピソードのこまめなぶちこみをやってみてください。