スペックの低いハードではオブジェクトの表示数やクオリティが犠牲になる事もある(次世代switchの話)

任天堂がswitch後継機の詳細を公表するまではゲーム業界関係者は詳しい事は書けません。
現時点でも部署によってはswitch次世代機に全く触っていないところもあったり、インディーゲーム開発者の場合は有名なところ以外はまだ次世代機向けの開発キットなどを入手できていないという人もわりといるでしょう。

現時点で書いても問題ないと思われる話としては「PS5やXBOX SXほどはグラフィック性能(TFLOPS値)は高くない」という点でしょうか。
次世代switchはGPU性能が10TFLOPSとか12TFLOPSではない事はほとんどの人が予想していると思います。


switchの次世代機はDLSSやそれに類似した機能を搭載するかどうかの話は置いておいて、「unreal engine5対応タイトルもフルHDやそれ以下のレンダリング解像度でレンダリングし、それからアプコンすればPS5やXBOX SXと大差ないグラフィックにできる」みたいな話が当たり前のようにされています。

でも、「実際はTFLOPSの低いハードやロースペックPCで出すには、オブジェクトの表示数やオブジェクトのクオリティも犠牲になってしまうという事がある」というのは知ってもらいたい。
これはswitch次世代機の話というよりロースペックPCでも関係する一般的な技術系の話です。

3D系ゲームは昔から3Dグラフィックの描画や頂点演算などの方式が色々変わってはきたものの、やっている事としては

1・まず頂点関係の演算処理をする
2・頂点データを元に二次元処理をしてポリゴンを貼っていく(マテリアル表現もこの時に行っていく)

というおおまかに分けると二段階の処理をやっています。
後者はラスタライズ処理とかレンダリング処理と呼ばれています。

「レンダリング解像度を下げる」という事で処理を軽減できるのは2の段階のみです。
1の頂点処理についてはレンダリング解像度をいくら下げても負荷はまったく変わりません。

今のゲームの頂点関係の処理は、
・頂点演算
・モーション演算
・物理演算

などがあり、当たり判定処理もこの中に入れて計算させている事が多いと思います。
当たり判定はそのままのモデルを使う事もあれば、当たり判定用の別モデル(ポリゴン数が少ない物)を使う事もあります。

PS5やXBOX SXで出ているリッチなグラフィックのゲームの場合、この頂点ン関係の処理だけでGPUはおそらく2,3TFLOPSやもう少し使っているゲームもわりとあると思います。
それくらい今のゲームは膨大なポリゴン(頂点)を使用し、またその膨大な頂点をモーション処理したり物理演算などの処理もしています。

switch次世代機もGPUのTFLOPSを頂点処理とレンダリング処理の二種類に分けてそれぞれ使用する事になりますが、当たり前のようにPS5やXBOX SXと同等の頂点処理をさせるというのは無理です。
ポリゴン数が少ないゲームならともかくヘビーなポリゴン数のゲームの場合は、頂点処理の演算コストをある程度下げていかないといけないため、結局その帳尻は

・表示するオブジェクト数を減らす(遠景描写などが簡素になる)
・キャラクターや背景オブジェクトのディテールを減らす

などでポリゴン数を減らして頂点演算処理の負荷を下げる事をしないといけなくなります。

今後はマルチタイトルが出る度にdigital foundryとかその他のyoutube動画で比較がされ続けて、「switch次世代機版ではオブジェクトの表示数やオブジェクトクオリティがPS5やXBOX版より低下しているのがある」みたいなのも見かける事があると思いますが、これはもうそういう物だと今のうちから知っておくと、がっかり感は減らせるでしょう。

綺麗なグラフィックで遊びたかったら高い金を出してPCを買うか、そこまで金が出せなくてももうちょっと上のグラフィックで遊びたいならPS5やXBOX SXとかを買えばいいだけの話です。

一般のライトユーザーはそこまでグラフィックにはこだわらないので、大抵はswitch次世代機だけで事足りると思います。
グラフィックの劣化を気にしなければ大丈夫でしょう。

XBOX SXは12TFLOPS、XBOX SSは4TFLOPSくらいですが、SX版に比べてSS版は一部のゲームではオブジェクトの数やオブジェクトクオリティが低下している事があるのは、同じ理由です。
解像度をフルHDに下げても、頂点演算がそのままでは間に合わないのでそういう事が起きています。