<知っておくべき>家庭における火事対策 第十八回 台所や厨房での火事を予防する

家庭での火事を予防するためのシリーズ第十八回。
今回は「台所や厨房での火事を予防」の解説です。

どういうケースで火事が起きてしまうか話をする前に、「台所や厨房には消火器をきちんと設置しておきましょう」というのをお話ししたい。

厨房に消火器を設置しているところはあっても、台所に設置していないという家庭は多く、火事の際は近くの蛇口から水を出して消火しようとするつもりの人もいるでしょう。
しかし油火災などの場合は水で消火しようとすると油が跳ねてしまい、かえって火災を拡散させてしまいます。
台所には油火災にきちんと対応したタイプの消火器を設置しておき、万一の火事の際にすぐに消火できるようにしておくべきです。
また、片手で持てる小型のスプレー消火器は容量が少ないので初期消火がきちんとできない場合があります。

それ以外にも、日頃から火災が起きる事をきちんと想定して模擬訓練も定期的にしておきましょう。
「火事の際はこういう行動をする」を自分や家族で定期的に想定してください。
これをやっておかないと実際の火事の際の対応が遅れてしまいます。

 
台所やお店の厨房で調理中に火事が起きるケースは色々あり、

・火をかけたまま台所や厨房から離れてしまう
・調理者の衣服やエプロンにコンロの火が燃え移ってしまった(強火などの火がはみ出しやすい時に特に起きやすい)
・換気扇の前につけているフィルターの取り付けが甘く、調理中に突然落ちてきて燃えてしまった
・携帯コンロの場合、コンロのガスボンベに鉄板など加熱した物が触れる状態になっていて爆発した
・老朽化したガス機器のガス漏れによる爆発炎上
・ガスバーナーを使ったあぶり料理の際の出火(建物の一部や衣服に火が点く)
・老朽化した換気扇近くの排熱構造は熱がこもりやすく、そこから出火した
・ホットプレートやIHコンロなど消費電力がかなり大きい機器を電源タップに接続して使用してコードから出火
・金属が含まれるものを電子レンジで加熱して出火
・金属が含まれない物でも電子レンジで加熱しすぎると出火する事がある。
(東京消防庁も肉まんの過熱しすぎで電子レンジ火災が起きる様子を公開している)
・オーブンやトースターなど高温になる物の近くに燃えやすい物を置いていた事による火災
・コンセントが油まみれになっていてそこから出火
・炭を使った料理で調理後に炭をきちんと消火しきれてなくて厨房が全焼

などがあります。
第四回で紹介した「コンロ近くの壁の炭化が進み、壁内部から突然燃え出した」というのも調理中に起こる火災の一つとなっていますのでその回も改めてご確認ください。

ガス機器や建物の排熱部分の老朽化、コンロ近くの壁などは劣化していく事で火災を起こすリスクが上昇していくので定期的にきちんとメンテナンスしていく必要があります。

  

家庭における火事対策シリーズの第一回目はこちら
一回目から順番に読んでいきましょう。

<知っておくべき>家庭における火事対策 第一回 序章


次回:「不動産所有者は大きな損害を受ける火事被害をどう抑えるべきか?」