ハードウェアシンセサイザーが抱えるあの問題

FMシンセサイザーのみならず普通のシンセサイザーもそうだけど、ハードウェア式のシンセサイザーって「プリセット読み込んだ時、スライダーやノブの位置がプリセット設定と大きく異なっている」っていう問題があるよね。

ソフト音源のシンセサイザーの場合はファクトリープリセットや自分が作ったプリセットを読み込んだ時に一瞬でそれぞれのノブやスライダーの位置が変化する。
しかしハードウェアシンセサイザーの場合はスライダーやノブを動かすモーターなどを仕込んでいないのが一般的なため、プリセットを読み込む前にいじっていたノブやスライダーの位置から動いていない。
だからプリセットを作る時に設定していたノブやスライダーの位置からそれぞれ違っていて、プリセット読み込み時におかしな事になってしまう。

プリセットを読み込んだ後、プリセット設定から少し設定を変えて音色を変化したい」ってのがソフト音源のシンセでは当たり前のようにできても、ハードウェアシンセではそれができない。

この問題を解消するにはいくつか方法があって、「スライダーやノブが自動で動くモーターを機器に仕込む」ってのがまず一つ目。
でもこれはスライダーやノブごとにモーターを仕込んでかなりコストアップになるし、モーターが動いている時にノブやスライダーを触ってしまうとモーターが壊れやすいだろう。

二つ目の解消方法は「スライダーは無くして、レベル調整もノブでできるようにした上で、全てのノブは左右に無限に回転させられる方式にする」という物。
たとえばFMシンセサイザーの場合はLEVELとRATIOの数値は液晶パネルに表示するようにして全ての数値はノブで変えさせ、そのノブも無限に左右にまわせるやつを採用。
ADSRなどの調整も無限に左右にまわせるノブで操作でき、実際の数値は液晶パネルで確認。
これならプリセット読み込み後に液晶パネルにそれぞれのデータが表示され、そこから無限回転できるノブで各パラメーターを微調整していく事ができるようになる。
数値の上限下限はソフトウェア側で管理できるから無限に回せるノブでも問題なし。

三つ目の解消方法は「液晶画面にプリセットデータのノブやスライダーの位置を表示し、それを見ながら自分でノブやスライダーの位置を調整させる」という物。
「プリセットの数値とのずれ」を見ながら自分でノブやスライダーを動かしてプリセット時の位置に移動させるというスマートとは言えない方法。
あるいは、それぞれのスライダーの横にライン状のLEDライトを搭載し、またノブのまわりにはリング状のLEDライトを搭載して「プリセットのスライダーやノブの位置はここです」みたいにLEDライトを部分的に点灯させて知らせる方式もありだろう。

一番実装しやすいのはやはり二番か。
液晶パネルをもっと大型化し、スライダーは全て廃止して全てのノブは左右に無限に回せる方式にすればハードウェアシンセサイザーでもプリセット読み込み後にプリセットから微妙に変えた音色も作れるようになる。
こういう機能はハードウェアシンセサイザーの売れ行きにも多少プラスになるだろう。