インディーズ漫画と商業漫画の違いとは

今はXやnoteやその他のSNS、アマゾンでインディーズ漫画を発表している人達は多くいます。
儲けの事は考えず色々な人達を楽しませる目的で漫画を作っている人もいれば、「インディーズ漫画でそれなりの利益を得たい」と考えている人もいるでしょう。

後者の考えの人は、インディーズ漫画と商業漫画の違いというのをきちんと理解し、力を入れるべき箇所・力を抜く箇所を考えたリソースの管理だったり、どういう要素でよりその漫画の魅力を増して読者を獲得し、販売数や閲覧数を増やしていくべきかをしっかり考えていく必要があると思います。

今回はインディーズ漫画と商業漫画の違いについてお話をし、「それではインディーズ漫画で読者を増やして利益も増やすにはどうしたら良いか?」という事も語っていきたいと思います。

<インディーズ漫画と商業漫画の違いとは?>

「発表媒体の違い」というのもありますが、一番インディーズ漫画と商業漫画の違いとして感じられるのは「漫画制作に専念できない」という事。
また、それにともない「クオリティアップにきちんと時間を取りにくい」というのがあります。

商業漫画は原稿料や印税収入がそれなりに入ってくるために本業として毎日たっぷり時間をかけて漫画作りに専念できる一方、インディーズ漫画の場合はこれで食べていくのはまず無理で「本業が別にあり、漫画制作は時間が空いた時に少しずつ進めていく物」となっています。

この違いによって何が起きてしまうかというと、「作品のクオリティアップの時間が商業漫画ほどは取れない」という事。
漫画に限らずゲーム制作や映画製作、テレビ番組や音楽その他色々な物作りでは「クオリティアップのための時間もきちんと取らないといけない」という事になっています。
これをやらないと作品の完成度が落ちてしまうからです。
ゲーム制作においてもこのクオリティアップの時間がきちんと取れなかった場合は悲惨な事になったり。

しかし隙間時間に進めていくインディーズ漫画制作でそれをやってしまうと、「作品完成までにかなりの日数がかかってしまう」という状態になりやすく、制作途中でやる気の喪失が起きて作品が未完成になったり、なんとか完成できても完成までにかなりの日数がかかってしまう事になります。

商業漫画はストーリーやネームなどで編集者と話しあって何度もリテイクしたり部分的な修正を行なってクオリティアップをしていきますが、インディーズ漫画の場合はこの部分は作者の判断に委ねる事が多く、「内容をクオリティアップする時間はもうこれ以上取るのはいいかな」みたいに妥協して、そこそこの段階でクオリティアップをやめて作画を始めてしまう事になったり。
その作画もほどほどのクオリティで納得したり。

インディーズ漫画の中には商業漫画と同じくリテイクをしっかりしてクオリティアップにきちんと時間を取り、さらに作画においてもキャラも背景もしっかり描き込むという作品作りをされている方も一部います。
しかし、アシスタントも雇えないでキャラも背景も一人で全ての作画をし、また内容のリテイクも繰り返して作品完成までにかなりの日数がかかってしまうと、そういう作品作りをずっと続けていくのは心理的な負担がどんどん大きくなり、継続が難しくなってしまいます。

<力の配分をどうするか?>

商業漫画と違って漫画作りに専念できないからこそ、力配分をしっかり考えて作品作りをしていくのがインディーズ漫画においては重要だと思います。

たとえば「内容で勝負したい」という人はもう絵の事は捨ててラフな絵で描いてストーリーの練り込みに時間をしっかりかけるというのも一つの手でしょう。

シリーズ作品ではなく読み切りとなりますが、以下の萱島雄太さんのこのサタニック・ブンブン・ヘッドという読み切り漫画がちょうどそれをやっています。
(この漫画はインディーズ漫画として作ったのではなく、編集部に提出する目的で編集者のリテイクを受けながら作ったのかもしれないけど)

商業漫画家として活躍されている方だけあって、一ページ一ページストーリー構成や構図、絵はラフであってもキャラの魅力などもきちんと考えたキャラデザイン、また読みやすいセリフ回しなど、この漫画は絵以外の部分では文句が無いほど完成度が高いと思いました。
今回のような考察目的抜きで読んでもだいぶ面白かったです。

こういう「絵の作画には時間を使わず、その分内容のクオリティアップにしっかり時間を使う」という制作スタイルはアマゾンのkindleインディーズでランキング上位に入っている人気のシリーズ漫画でも時々見かけます。

この手の「絵はラフだが内容で楽しませる」というスタイルの漫画は将来的には作画を別の人に担当してもらったり、自分が作画する事でそのシリーズを商業漫画に昇格させようと考えてやっているのだと思います。
実際にkindleインディーズで人気が出て、出版社の目にとまって雑誌や漫画アプリでの連載にこぎつけた作品も最近はいくつかあります。

「絵はここまでラフなのはなぁ……」と思う人も、鉛筆ツールでキャラや背景を作画するスタイルだともう少し見映えが良くなり、それでいて作画時間は商業漫画ほどはかからない漫画作りができるのではと思います。

<キャラの魅力で読者数を増やすという方法も>

「絵はこういうラフではなくもうちょっとしっかり描きたい」と考えている人の場合は、「何よりもキャラに魅力を出す事」をもっと意識すると良いかもしれません。
こっちはストーリーの練り込みには時間をかけず、キャラの方により力を入れるという制作スタイルです。

背景の作画は自分でやるのでほどほどに背景のクオリティを落としたり、背景素材を使って作画時間を短縮化したりするものの、キャラの方は魅力あるキャラデザインときちんとした作画、また言動においても読者を魅了するキャラにしてみましょう。
そうするとキャラ人気によって読者が増えていき、kindleインディーズのダウンロード数や閲覧数が増えたり、kindleで有料で販売する場合もキャラにはまった人達がコミックを買ってくれるようになるでしょう。

キャラが魅力的なインディーズ漫画は読者がかなり付きやすく、そこから出版社から声がかかって本格的な商業連載化をしている作品がいくつもありますよね。
こういうキャラ人気のある作品は将来アニメ化にこぎつけやすいというメリットもあります。

ストーリーだったりギャグで楽しませる作品もありますが、読者をより増やしたい場合はキャラにしっかり魅力を出す事、これがインディーズ漫画においてより多いダウンロード数や販売数につながると思います。

最近は私も色々なインディーズ漫画をnoteやアマゾンで読んでいるのですが、「この漫画はキャラにきちんと魅力があって良いなぁ」と思ったり、「このキャラはもう少しクオリティアップしたらもっとキャラの魅力が増してこの作品を好きになる人も増えるだろうなぁ」と思う事があります。

画風が自分好みで魅力的なキャラを描ける作家さんは、そのキャラにはまった人達はすぐフォローしたくなるというメリットもあります。フォロワー数が稼ぎやすい。

kindleインディーズで思ったようにダウンロード数や閲覧数が増えない、フォロワーも増えていないという事で悩んでいる人は、「魅力的なキャラデザイン」「魅力的に見えるキャラの作画(画風)」「漫画内でそのキャラをどう動かしてより魅力を出すか」というのをよく考えてみてください。

商業漫画はストーリーもしっかり練り込み、キャラもきちんと魅力ある作品作りをするべきですが、インディーズ漫画の場合は商業漫画のように専念して制作できないからこそ、「絵は半ば諦めてストーリーをしっかり練り込む時間をきちんと設ける」か、逆に「ストーリーを練り込む時間がきちんと取れなくても、キャラの魅力を出す事にしっかり力を入れる」みたいな取捨選択をやる必要があると思います。



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色々参考になると思うので良かったら見てみてください。