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幻のバナナ

 日本で初版から30年を超えたロングセラー『ごきげんなすてご』(いとうひろし作)。英語版が昨年出版されて好評を博し、現在はドイツ語版の準備が進行中です。

 ドイツからは変わった依頼がありました。主人公が「すてご」になるために入る箱に、日本版では「トマト」という英文文字が入っています。が、「トマトの箱はもっと平たい。ドイツでは不用品はバナナの箱に入れる。トマトという字の代わりにバナナの絵を入れたいから作者に描いてもらえないかな」「あのね、箱は33カ所もあるの。そんなに描けってこと?」「いや、正面と右と左と変形してるのと、4つあれば大丈夫」…ということで作者に依頼。
 いとうさんは、「日本だってトマトは平たい箱に入ってるよ。トマトっていう字はただの飾りだったのに…」と、ぶつぶつ言いつつ、短期間でバナナを5つ(ひとつサービス!)描いてくれました。

 海外版の制作過程では、文化の違いもあっておもしろいことがいろいろ。日本語版では見られない「幻のバナナ」、どうぞご覧ください。


ドイツ語版のために描いたバナナ
Ⓒいとうひろし

編集部:上村 令

(徳間書店児童書編集部「子どもの本だより」 2023年5月/6月号より)


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