第四話 嘗て愛されたいと歌ったパンクバンド
いわゆる元カレである双見裕(フタミユタカ)から一ノ瀬綾子(イチノセアヤコ)宛てに、一本のカセットテープが届いた。自作曲を収録しているとの事だが、しかし如何せん、綾子が生活するアパートの部屋にはそれを再生する機器がなかった。
仕方なしに、いやさそのカセットテープに託けて綾子は、中学時代の先輩で友人でもある瀧八千代(タキヤチヨ)との約束を取り付けた。目下の同居人である六歳の甥、三塚松理(ミツヅカマツリ)と連れ立ち彼女に会いに出掛けた。
果たして八千代の運転で、郊外のファ