思い出①

少々昔話を。

小学2年生の時の音楽授業で皆で歌い、授業が終わった後呼び止められ、隣の音楽準備室で待つ様に言われた。
狭い部屋の中、待っている間は酷く長く感じた。

やがてぞろぞろと5、6人の先生が入ってきて、小さな私を囲み、歌ってみせよ、という流れになった。
私は「あの雲のように」を歌った。
息継ぎをするべき所でし損なう程極度の緊張で、顔を真っ赤にして歌っていたのだと思う。

それぞれの先生方から素晴らしいと褒められ、その時から私は調子づいてここまで来たのかもしれない。
思うに人に求められ歌った初めての経験。
初めての舞台であった。
上手く歌えたとは思わないのだが、何とも言えない気持ちになった。

舞台では時々魔法がかかる。

かからない時もあるのだけれど、魔法が降ってきた時は、それに魅せられ、またあの日に感じた気持ちに出会いたくて、私は舞台へと上がっているのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?