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「ママ」と言ってくれ

忘れられないというか、忘れたくないので思いだしたときに書いておこう。

息子は1歳をすぎてもなかなか言葉が出てこなかった。
たしか1歳半健診のときに指摘され、市の子育て相談に行ったりした。
でもジェスチャーでやり取りができていたので様子をみていた。

そして、3歳の誕生日前くらいに急にしゃべりだしたのだ。
だけど「ばぁば」「パパ」とは言うのに「ママ」とは言わなかった。

あるときは
「ばぁばー!!」
「ちーくーん!!」
「ばぁばー!!」
「ちーくーん!!」
と、実家の玄関の前でロンバケの瀬名と南のように呼びあっていて嫉妬した。

ばぁばが言うには、わたしのいないところでママの話をするとき「ママ」と言っているらしい。
でもわたしの前では言わない。


それからしばらくして、休日にホットケーキを焼いた。
ちいさなテーブルで向かい合って、息子とふたりでおいしいね、と食べていた。

そして彼は照れながら、でもちゃんとこっちを見て
「ママ」
と言ったのである。
「なあに」
と言いながらわたしも照れた。

ふたりですっごく照れた。
そして微笑みあった。

ほんとは分かってたのだ。
恥ずかしくて言えないこと。
とってもとっても照れ屋さんなこと。
ママが大好きすぎて言えなかったのだ。

それからはもう、「ママ!ママ!ママーー!!」と呼ばれまくり、「ママだーいき!(だいすき)」と言われる生活が始まった。

これがわたしの人生のピークである。
わたしも負けじと好き好きアピールで対抗する。
このピークが過ぎたらあとは下っていくだけだ。
今をしっかりかみしめるように照れずに、LOVELOVE愛を叫ぼう。



#書く部のお題で書いてみた
#いまも忘れられない 、あの人のあの一言

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育児日記

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