日々雑記、あるいは文章練習として。4

・北欧神話のエピソードの一つにこんな話があります。

 ある時、トール神がお供を引き連れて旅に出ました。その道中である巨人の王と勝負をする事になったのですが、その勝負の一つに競争がありまして。両陣営、共に俊足自慢の者が競い合う事となりました。

 結果は巨人の王の勝利。というのも勝負に挑んだ王の陣営の顔ぶれはそれぞれ、王の魔法によって仮初めの姿を与えられた者たちで。競争に挑んだ者は王の『思考』が具現化された存在でした。

 このエピソードが個人的に印象深い理由は、速さを競うに光や風や音ではなく思考を代表とした所にあります。

・神話の語り部たちが表現したように、思考とは速いモノ。つかみどころ無く逃げゆくモノです。例えばお風呂に入っている時、何か良いアイデアが思い浮かんだとしましょう。あるいは夜お布団に入り、眠る間際に閃きが訪れたとして。お風呂から上がって服を着る間。朝に目を覚まして起き上がる間。訪れた良き思考は脳内に留まっているでしょうか?

 また例えば、何か問題を抱えていて思い悩んでいる時。解決策が浮かばないかとウンウン唸るも気がつけば同じ所をグルグル回っているだけの状態。

 これの対策の一つとして、紙に書く事は今でも有効な行為でしょう。消えてしまったアイデアを求めて、白紙に向かってひたすら脳の中身をぶちまける。秩序をもって問題を掲げ解決策を探っていく。

 紙とペンをもって思考に首輪をつけ、思考の辿る道を整える。

 創る・書くの第一歩はそこから始まるモノだと、石一つ道に置くようにして考えました。

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