In vivo magnetic resonance imaging study of the hip joint capsule in the flexion abduction external rotation position

 臨床や現場では、バッティングの際に軸足の股関節に体重を乗せると股関節の前方が詰まる、という訴えの選手を経験します。その症状の改善に至る解剖と機能について記載された論文を紹介します。

 Masahiro Tsutsumi, et al. Sci Rep. 2022; 12: 6656.

要約

 本研究ではMRIを股関節15°伸展位、45°屈曲位、FABER位で撮影し、それぞれの関節腔のサイズと脂肪体のサイズを算出し比較検討されています。この脂肪体とは前下腸骨棘上で大腿直筋近位部と前方関節包の間に存在する組織です。
 その結果、関節腔の面積と脂肪体の面積は、FABERが最大で15°伸展位や45°屈曲位よりも大きい傾向にあったとのことでした。
 このことから、FABER位では関節包が緩み、脂肪体もそれに連動して広がると考えられます。要するに、FABER位で股関節に疼痛や違和感が生じる症例はこの部位が“緩めない”拘縮が生じていることが推察できます。その周囲には大腿直筋、腸腰筋、Iliocapsularisが存在し、これらを評価する身体所見と合わせることでより詳細な拘縮部位を特定できると考えました。

感想

 股関節周囲に問題を抱える患者さんや選手は多い印象があるため、今後も知識を深めて臨床に応用していきたいと思います。

投稿者
 中井亮佑

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