頚椎に関する基礎知識:後頭直筋の筋活動と不良姿勢との関連性について

今回は、後頭直筋の筋活動と不良姿勢との関連性についての報告を紹介します。
 
Forward Head Posture and Activation of Rectus Capitis Posterior Muscles
Richard C, et al.:The Journal of the American Osteopathic Association.117:24-31. 2017

概要/要約
 小後頭直筋は、解剖学的に脊髄硬膜に付着していることから、同筋の機能障害は慢性頚部痛や頭痛に関連すると報告されています。本報告では、筋電図を用いて矢状面アライメントの変化に伴う大・小後頭直筋(RPC)の筋活動を検討されています。方法は、健常者20名を用いて安静姿勢(neutral position)から頭部前方位(forward head position)とし、再度、安静姿勢へと戻した際の筋電図データを記録しています。その結果、安静姿勢から頭部が前方に移動するにつれてRPCの最大随意筋力(MVIC)が増加したとのことです。
※平均MVIC・・・小後頭直筋:11%⇒35%・大後頭直筋:14%⇒39%

感想
 慢性頚部痛や頭痛を訴える症例の多くは、頭部前方位姿勢でありRPCに圧痛を認める傾向にあります。しかし、理学療法評価において頭部前方位姿勢を補正すべく、徒手的に骨盤前傾位や胸椎伸展位を保持するとRPCの圧痛が軽減することを良く経験します。このように、RPCの緊張が変化する条件を確認できた場合は、上位頚椎に対する局所的なアプローチを行う前に、アライメントの是正を試みてRPCの緊張や症状・可動域の変化などを確認することが多いです。本報告では、矢状面アライメントの変化とRPCの筋活動との関連性を数値的に提示しており、より臨床でのイメージが膨らみ非常に参考になりました。

報告者:石黒翔太郎

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