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月が綺麗ですね



『"月が綺麗ですね"って知ってる? 夏目漱石が " I love you " を "月が綺麗ですね"って訳したらしいよ』


美人で秀才な友達から教わった "愛しています" の言い回し。ロマンチックな表現だなってきゅんってしたし、それを知ってる教養のある女性は素敵だなって思った。


だけど、月を見ることが大好きな私にはちょっと面倒な表現。



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夜、外を歩くときには無意識に月を探してて、綺麗な月を見つけると話を遮ってまで伝えたくなる。満月の夜は、わざわざ外に出て探したくなるし、見つけると大切な人に連絡したくなる。


離れて暮らしていても条件が合えば、同じ月を見られるかもしれない。見えるか見えないかだけの何ともないことだけど、繋がってるんだなあって嬉しくなる。


だけど、同じような熱量で感動してくれる人に会ったことがない。いつもみんなに「はいはい。好きだね~。でさ、…」って言われちゃって。ドライブ中に「ごめん、月綺麗だからちょっと車止めて見てもいい?」なんて言われたらイチコロなのに。





綺麗な月に目がないのは、お母さんの血。
普段は用事がないと連絡しないけど、なんでもない日にくる「今日、月が綺麗だね」のメッセージ。お父さんにでもお姉ちゃんにでもなく、わたしに連絡をしてくるのは、わたしがお母さんと同じように綺麗な月が好きなのを知ってるから。


吸い込まれそうな漆黒の夜空に太陽の光を受けて輝く月。何にも話さず、ずっと見ていたい



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愛していますと直接言葉にするだけでなく、私たちはいろんな形で愛を伝える


待ってたよ会いたかったってハグしたり、元気?って連絡したり、おめでとうってお祝いしたり、叱ってくれるのだって想ってくれているからなのかも



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末っ子の妹は、もっとおチビだった頃から、お気に入りのお菓子があるといつも家族みんなに分けてくれる。自分の分がどれだけ少なくなっても、みんなが同じ部屋にいなくても、小さく分けて届けてくれる。「美味しいから一緒に食べよう」って。お兄ちゃんたちは独り占めしようとして、なかなか分けてくれないのに。




「好きなら全部食べなよ。みんなの分はそれぞれあるからいいよ」って遠慮しようとすると"しゅん…"ってして、「わあ!うれしい!美味しいね」って受け取ると得意になって嬉しそう。



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それぞれの愛の表現の仕方があって、それが嬉しいと感じたのなら、"申し訳ないから、悪いから"と遠慮だけするのは、さみしいことで、"うれしいよ、ありがとう" と気持ちよく受けとることやその受け取り方こそが大切だと思うんだ。



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