品質管理メモ #1(ヒューマンエラー)

2020年4月から大学院でヒト×情報セキュリティ×品質管理を研究する予定である。特にヒトによるヒューマンエラーは情報セキュリティ分野においても課題になっており、人の特性の理解なくして有効な取り組みは期待できない。今回はヒューマンエラーに取り組む際に材料となりうる考え方やキーワードをご紹介する。

はじめに

ヒューマンエラーとは何かという具体的な説明はここでは割愛するが、本記事では一言で表現すると「標準を逸脱した行為」を指す。(意図的な逸脱はヒューマンエラーに含まないとする定義もあるが、本記事では含むものとする)

ヒューマンエラーが起きても何らかの形でケアされれば事故には至らないし、事故が起きても何らかの形でケアされればその影響を抑えることができる。従ってヒューマンエラーが起きる=事故が起きてしまう、という関係にはならない点に注意が必要だ。

このヒューマンエラーの防止にはその背後要因の理解が必要であり、対策を考える際には人間の特性を考慮する必要がある。昨今は個人的な要因以外にも、その個人のエラーを誘発させてしまう環境、組織的要因や文化的要因にも言及されている。

ヒューマンエラーの背後要因について

ここに、ヒューマンエラーの背後要因に関する興味深い引用がある。

人間の行動は人間の特性と環境によって決定される(Lewin ,K.)
出典:鳥居塚 崇『人間を知る』(日本信頼性学会誌 信頼性)

つまり人間の行動をケアするためには、これらの特性や環境といった諸要因を人間に合ったものにすることがキーであることが考察できる。こうした諸要因をPerformance Shaping Factor(PSF)という。これには人間の内的要因や環境などの外的要因を含む。これらの要因の枠組みを与えるツールに、例えば以下のようなものがある。

①m-SHELモデル

詳細は割愛するが、人間とその人間を取り巻く環境との間には様々な要因(ギャップ/溝)があり、その要因を人間の特性に合わせて取り除くことがヒューマンエラーの解決に有効であることを示唆してくれるツール。

②4M(5M)

人間の特性について

人間の特性は、数多くの視点で考察される。

①身体的な特性
②生理的な特性
③感覚・知覚的な特性
④認知的な特性
⑤認知/心理的なバイアス

など
出典:鳥居塚 崇『人間を知る』(日本信頼性学会誌 信頼性)

それぞれの説明はJ-stageから原文を参照されたい。これらの人間特性の理解がヒューマンエラーへの対策に求められている。

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