【連作詩:東の翼望】 その四 繰り返し

凜々珠は訪れた
度々訪れた
日々訪れた
そして聖にねだった
目玉の話が欲しいのだと
女はねだった
 
聖は悩んだ
どうすれば彼女を満足させられるものかと
夜な夜な苛み
ついには
自らを慰めることを覚えるほどに
苦悶した
 
イスラフェルの口角は微かに上げられた
彼もまた翼失くして鈍感であった
だが、そのように思い悩んで悦に入る聖の姿が美しいと
我知らず認めていた
 
アズラエルは
過ちと認めながらも
その行く先を見たかった
ただ観察するので十分だった
自らが交わることまで
翼失くして望んではいなかった

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