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若年層の子供の問題

『「子供を殺してください」という親たち』では、先月まで、10代の対象者をテーマにした回、「ケース19 奴隷化する親たち」をお送りしていました。こちらは、最終話をコミックバンチWebで読むことができます。

今日は、弊社への相談事例の中から、若年層の子供の問題としてよくある事例について述べてみたいと思います。

・本人の年齢は10~20代前半
・幼少期から問題行動があるなど、育てにくさを感じており、精神科など専門機関への相談・受診はしたことがある。
・ひきこもりがち、昼夜逆転、金銭の無心、家庭内暴力など問題行動があるが、精神科では積極的に診てもらえない
 
昔に比べると精神科病院や精神科クリニック、心療内科等への垣根は低くなっており、親御さんも早い段階からあちこちに相談に行っています。本人がすでに医療につながり、診断名のついている方も少なくありません。最近の弊社への相談では、軽度の発達障害や知的障害と診断されているケースが増えています。
 
しかし親御さんの話を聞いていると、主病名の他にも、パーソナリティ障害や摂食障害、スマホ・ゲーム依存などの問題を抱えている場合が多くみられます。子供がひきこもりやゲーム依存の状態にあり、お金の無心や諍いから親が骨折するほどの怪我を負わされる事例も、たびたび耳にするようになりました。
 
早期に第三者の介入が必要なケースでありながら、親御さんは「本人の将来に影響するのではないか」という思考にとらわれ、110番通報や被害届の提出をためらっています。あるいは、主病(発達障害や知的障害など)に関する通院はできていても、摂食障害やゲーム依存等の治療には踏み込めていないケースも多いです。
 
子供が未成年の場合には、学校や児童相談所、発達障害支援センター他、関係機関をフル活用できるか否かが、その先の明暗を分けます。そのためにも、家庭で起きていることをおおげさなくらいに公にし、第三者の介入を得てください。
 
日本の現状として、パーソナリティ障害や依存症、摂食障害等に関する専門病院は限られており、加えて治療は「任意」、つまり本人の意思が重要視されます。これは、患者が成人であっても未成年であっても同様です。そのため、本人が治療に前向きでなかったり、受療中断してしまったりした時に、親が必死で頑張らない限り、継続的な治療・支援からは遠ざかってしまいます。
 
「本人の意思を尊重する」と言えば聞こえが良いですが、最近は、10代の子供の顔色をうかがうような対応しかできない親御さんも多いように思います。叱るべきポイントで叱らず、じっくり向き合うべきところで向き合えていない。その積み重ねの結果、感情のコントロールが効かなくなった子供を手なずけるために、物を買い与え、ますます欲求値を肥大化させています。
 
親自身が子供を正しく導けないのであれば、第三者に入ってもらい、教えを請うしかありません。それは、第三者から本人の欠点だけでなく、特性(強み)を見てもらうことにもつながります
 
本人の言いなりになる生活を長く続けてしまうと、社会的にみれば若い年齢(10代~20代前半)でも、自立の難しい状態(予後不良)にしてしまうこともありますので、10代の子供の問題で悩んでいる親御さんにはぜひ、今のうちから積極的にSOSを発し、親御さんにとっても信頼できる相談先を、見つけてほしいと思います。
 
◎参考までに、10代の子供について相談できる専門機関の一例を掲載します。
 
本人の通学している学校(担任やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー)
スクールカウンセラーは、子供本人だけでなく、保護者の相談にものっています。
●住所地管轄の児童相談所
児童相談所は虐待だけを扱っているイメージがありますが、18歳未満の子供の福祉に関して調査、診断、判定を行い、指導、援助なども行っています。また、知能検査を含む検査、問題行動の原因分析等も行っています。
市区町村の子供家庭相談課(名称は各自治体で異なる)
療育していくうえでの悩み、母子関係、DVなど含め、相談可能。家庭訪問なども行っています。子供本人だけでなく、親の相談も受けてもらえます。
発達障害支援センター
全国の設置については「発達障害者支援センター・一覧 」で確認することができますが、自治体によっては予約が取りにくいこともあるようです。なお、センターの利用についてはスクールカウンセラーが情報をもっていることもあります。
●住所地管轄の少年サポートセンター
各都道府県の警察に少年サポートセンターを設置し、専門職員による相談等、少年の非行防止対策を推進しています。原則として平日対応のみですが、家庭訪問など具体的な対応をしていただける場合もあります。
 

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