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ともだちの話

いつかとかきっとじゃなくてありふれたあしたをくれる僕の友だち

「神さま、僕の友だちが短歌を書きました」

蝦名泰洋 野樹かずみ 2021年『クアドラプル プレイ』(書肆侃侃房)153頁より

初読で意味が分からなかったんですよね
今でも完全には分からない、でも
分かりたいと思うのでこれを書いています

単語としての意味は問題なく理解できるけれど
文意のわからなかった文章
そんな言葉の塊が
「何か」や「誰か」との出会いをきっかけに
なんとなく分かった気になる
そんな一年を昨年は過ごしました

短歌を始めてたくさんの言葉に出会える
烏滸がましい話ですがそれは想定通りで
たくさんの言葉を食べるように読みました

想定をしていなかったこと
友だちができました、私にです、こんな私に
相手が自分をどう思っているかわかりません
それでも大事な友だちができました

タイムラインを駆け抜けてゆく友だち
手を振ると返してくれる友だち
視認して去ってゆく友だち
友だちの定義を問う友だち
馴れ合いを嫌う友だち
社会生活に苦戦する友だち
本を売る友だち
同郷の友だち
乱暴で優しい友だち
言葉を考える友だち
考え方の違う友だち
愛する人と結ばれる友だち
結ばれなかった友だち
日々の生活に埋もれそうな友だち
人間を観察する友だち
入院をしている友だち
被災をした友だち
事故に巻き込まれた友だち
心配してくれる外国の友だち

年齢も性別も住所も違うけれど
みんな短歌に触れていて
何が言いたいか
わからなくなってきたけれど
友だちの作る一首一首が
この時を逃すともう出会えないと
そう思う日々が続きます

年末前からずっと
喪うことが恐ろしくて
自分は怪我も病気もしていないのに
被災をしたわけでもないのに
そんな自分にできることは
これっぽっちもないけれど
待つくらいのことはできるなと
思い続けています

いつかとかきっとじゃない
神さまに報告をする必要もない
ありふれた
つまらないかもしれない
くりかえしかもしれない
それでもまた読みたいなと思える
そんな今日や明日をくれて
本当にありあがとうございます

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