情緒がスパークする映画【RRR】序盤のネタバレ感想

結論:コレを見たら心がブチ上がる。


今、ニコニコ動画でバーフバリが見れるのはご存知ですか?

 プレミアム会員限定ですが、2022/12/29 現在、ニコニコ動画でバーフバリ2作品とも見れます。数年前に一回アマプラで見て大興奮でしたが、その頃の熱が戻り、ここ最近鬼リピしているため記事制作にも支障が出ています。記事より先にバーフバリだ!



監督の最新作!

 そんなバーフバリを見続けた矢先、バーフバリを作り上げた監督の最新作【RRR】が放映中と耳にして行きたくなるのは自然な流れ。……え、なんて読むのかって? 【RRR】は【アールアールアール】ですよ。別にひねった呼び方じゃないのでご安心を!


上映館少ない! 上映回数も少ない!

 超面白いけど上映館が少ない! インド映画の認知度って日本だとそんなに無いのだろうか? TOHOシネマズで見たいんだが! 加えて上映回数も無限列車と比べたら都心の時刻表と田舎の時刻表くらいの差がある。田舎が悪いわけじゃないけどこの映画がこれしかないのはちょい不満。


インド映画=ミュージカルなイメージ

「とにかく踊っているミュージカル映画」ってイメージが有るインド映画。バーフバリもそんな感じだろうと思って見てたら、ダンスシーンほぼ無いのはびっくりした。完全版だとダンスシーン増えているけど、アマプラだとその場面丸ごとカットされてたりする。

 他の映画は知らないけど、バーフバリを生み出したラージャマウリ監督作だとダンスシーンは控えめ。RRRもダンスシーンはあまりない……が、この映画を見ると「もっとキレのあるダンスが見たいわ!!」となる。


インド映画=ひげもじゃのおじさん

 髭をたっぷり生やしたおじさんが踊る。ニコニコ動画ではよく見た光景。この映画も髭、足りています。バーフバリも髭めっちゃあります。しかし私たちは髭があろうがなかろうが、おじさんだろうが可愛いとかカッコいいと思えるよう、天に任せる企業で叩き込まれています。雄々しさが引き立つこの髭は良いものだ。

RRRの事前知識は必要?

 MCUとか、鬼滅みたいに「知っていること前提」な映画が最近多めでありますが、本作はこれ単品で見れます。バーフバリ見てなくても全然オッケーです。何にも知らない私が最後まで楽しめました。

上映時間 3時間は短い

「3時間? それなら配信されたときに倍速で見よう」とか考えたらいけない。それはカルピスの原液を2本ラッパ飲みで一気飲みするような愚行だ。3時間ですら原液をじっくり飲み続けるような濃度で、最後の最後まで【これがインドのエンタメだあああああああ!!!】とぶつけてくる。そんな馬鹿げた映画(褒め言葉)がRRRです。

そもそもどんなストーリーなの?

 舞台は1920年代のインド。超大国イギリスの植民地時代で起こるお話。

 静かに暮らしていた部族を訪問したイギリス帝国総督夫妻。手に模様を描くのが上手い娘マッリを(ペットか何かの感覚で)欲しがり、銅貨2枚を放り投げて一方的人身売買をした。部族の中で最も強い戦士ビームは数人の仲間と共にマッリ奪還のため動き出す。

 時は半年ほど過ぎて。イギリスの警察では総督の命を狙う者(これがビームだけど名前も姿も知らない)を炙り出し捕まえた者は大きく出世させるとし、インド人故に出世できない有能な英傑ラーマが、犯人を暴き生け捕ることを決意する。

 互いに素性を知らぬ2人はある事件の現場に居合わせ、抜群のコンビネーションを発揮しこれを解決、親友になる。これがイギリス帝国を大きく揺るがす大騒動になると、この時はまだ誰も知らない。



ここからはネタバレ混じった感想

 それでは物語の感想に参ります。ナートゥダンスシーンまでのネタバレを含みますのでご容赦下さい。「ナートゥダンスとは何だ?」と思ったアナタはもうすぐこの沼にハマる。

【R】upee 命の価値

 マッリを連れ去ろうとする総督婦人。その車に体当りして娘を取り返そうと頑張る母。警察隊が銃口を向けた瞬間総督は「その弾の価値は1発15ルピーだ。勿体ねえ」と、枯れ木で頭部を殴って失神させる暴挙に出る。

 この映画におけるイギリス人とインド人のパワーバランスが如実に現れる1幕だ。所詮植民地の、何処ともしれない部族の命なんてそんなものと高をくくっている。『時代背景』『物語の舞台』『絶対的悪の描写』がこの場面だけで全部表現されていて上手い。破格値を付けた奴らにどんな報復をするのか非常に気になるわけだ。

ho【R】de 大群vs1人

 デリーにて。活動家を捕まえた刑務所を取り囲む大量のインド人。広告とかでゾンビの群れが拠点に押し寄せるあれとほぼ同じ迫力がある。四方八方を囲まれたそこは10分も待たずになだれ込まれてしまうだろうことは容易に想像付くし、居合わせた警察官達には絶望感が漂う。

 騒ぎの中で何かを投げつけ、刑務所内に飾ってあった総督の写真を破壊した者が現れた。それを捕まえてこいと指示したが当然誰も群衆のど真ん中なんて危ない場所には……行くんですよ、1人! それが本作もう一人の主人公ラーマ。

 屈強な鋼の肉体。獲物を決して逃さんと燃え上がる狩人の眼。払い除けても伸びる無数の腕に阻まれようが、目標を見失わずに突き進む。群衆に殺到されても諦めない、知恵と地の利と主にパワーで生け捕る。

 並の映画だとこのシーンは物語前半最大の山場くらいのど迫力なんだけど、まだ始まって間もないし、コレ以上に迫力あるシーンが何度も来るだろうとバーフバリ経験で分かっているから期待値がバク上がりするわけです。

【R】iding 完璧な意思疎通

 マッリを救うためにデリーで一般人になりすまし情報収集をするビーム一行。イギリスのやり方に不満噴出の反乱者集会に潜り込んだラーマは、仲間と思い込んだビームの弟を確保寸前で逃し、追跡するも人混みがあつすぎて見失ってしまう。

 そんな時、油滴る列車が燃え上がり、油を撒き散らして川が燃え上がった。魚取りをしていた少年が炎に囲まれ窮地に立たされる。逃げ果せた弟にしばらく姿を隠すよう指示したビームと、それを追って橋の上にいたラーマ。救出手段を考えたラーマだが、それを実行するには自分と同じ鋼の肉体、恐れず突き進める胆力、タイムリミットが迫る中で阿吽の呼吸を取れる者が必要だった。そんな人物いるわけ……

 いるんだよなあ、ビームが!

 その救出シーンは劇場で見てほしいけど、宣伝映像が既にあるのでそちらを見ても良いかもしれん。サムネだけは私も知っていたけど、この状況からどうやって救うのかは検討もつかなかったです。もうとにかく熱いんだ。歌も熱い、演出も熱い、感動のあまり笑います。感動して泣くんじゃなくて、笑うんですよ、しかも涙がオマケでついてくる。

b【R】other 兄弟の絆とナートゥ

 歌に乗せてダイジェストが始まる。ラーマとビーム(偽名はアクタル)の2人が、生まれた時から一緒くらいの中の良さ、馬が合い、互いの使命以外の出来事は何をするにもほぼ一緒。仲良すぎて肩車しながらスクワットしているシーンもあるんだが「いやそうはならんやろ」と笑える。

 そんなビームはイギリス人の心優しい淑女ジェニーに恋をしていた。ラーマのアシストもあり、ダンスパーティに招待されたビームは、イギリス人貴族(?)のジェイクから差別を受けるわ不慣れな西洋ダンス中に足を引っ掛けられて転ばされたりと散々な辱めを受ける。しまいには「お前らにダンスが踊れるのかよ」なニュアンスでバカにされ笑い者に。

 そのフラストレーションを打ち砕くのは誰あろう、ビーム専属ダンススーツコーディネーターのラーマ兄貴だ! お行儀の良い社交界クラシック音楽ではなく、リズミカルな太鼓のリズムでビームを鼓舞する。颯爽登場したラーマは、ジェイクに尋ねた。

「サルサでもタンゴでもない。ナートゥをご存知か?」

 彼ら曰く

1「土煙を上げて猛進する雄牛」
2「母神に捧げる渾身の踊り」
3「サンダル履きの大立ち回り」
4「木陰で悪巧みする若い衆」
5「あるいは唐辛子入りの雑穀パン」

 高尚なようでいてしかし庶民的。ナートゥは

1:とても激しいダンス
2:全身全霊の奉納
3:誰でも踊れるし踊って良い
4:ちょっとアングラなもの
5:見かけで判断できない刺激的なもの

 ……つまりどういうことと考える間を与えず

「まあ 聴け」
「この曲を」うぉおおかっこい
「この歌を」うひょおおおお!!

 そのままナートゥが始まり最早感情の制御は効かなくなる。心が暴走特急になる。可能であればダンスの出来る映画館に行きてぇ。私にはダンス技術全く無いけどロボットダンスでもなんでも良いから体を動かしたくなるそんな曲。

 因みに本国版の再生回数は2億回……わかる。これはね、鬼リピ必至。しっかり最後までダンスシーン見れます。言語が少し違うがダンスの熱さに変わりはないので問題ない。だんだん皆がダンスをし始めるシーンも良い、最後のタイマン寸前の間が、ブチ上がった気持ちにロケットエンジンを付けてくる。

 このダンスシーン圧巻なんですが、序破急の序なんです。

 このド熱さでまだ物語はそんなに動いてねえのバグですよ。

続きは映画館で見てくれ!

 此処から先の感想はやめときます。あとは映画館で見て下さい。因みに私が行った時、最前列しか空いてないほどの盛況ぶりで一瞬躊躇ったけど、この映画はむしろ近いほうが良いとさえ思った。俯瞰は出来ないけど迫力満点の絵面が目一杯広がる。今すぐ見に行こう!

 ナートゥ同様後半にも感激で笑みと涙が止まらん演出満載だ! 後誰かしらんけど映画終わったら拍手が巻き起こった……ので私も少し手を叩いた。叩かずにはいられん。貰ったエナジーが漏れ出たような拍手だ。

 凄まじいエネルギーが湧き上がるこの映画、RRR。劇場へ走れ!

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。