スパイダーマン2感想

 物凄く泣いた。圧巻のアクションシーンに心奪われた。

 こんばんは音霧カナタです。前作スパイダーマンから2年後の世界観、というか実時間も2年後。相変わらずピーターが労働とヒーロー活動の両立できていないために、まともな職にもつけないし、約束はすっぽかすし、あやふやな態度しか取れず疎遠になる展開もある。スパイダーマンでいることの辛さや、どうして金にもならず名声も得られないボランティア活動をしているのか……という「ヒーローになれるから持ってしまった悩み」を前面に押し出しています。

 この映画はピーターがスパイダーマンに変身する映画ではなく、ピーターの中にスパイダーマンが宿る映画。ピーターが主役なんだ……このニュアンスが伝われ……

※この記事はネタバレを含みます

今回の敵

ドクター・オクトパス。

 最初は悪役じゃない温厚な科学者。本名は別にある。妻を愛しているし研究に情熱もあるし、ピーターが尊敬する人物。……なんですが、どう考えてもヤバそうな4本の人工知能付きアームを使ったり、夢が核融合などぶっ飛んでいる。

「制御チップがあるから人工知能には洗脳されない、絶対負けない!」ってどう考えても死亡フラグですよ!

 実験が敢え無く失敗した後に病院でお医者様相手に若干ホラー映画級の殺戮ショーを披露するを皮切りに暴走。真に彼を制御できる妻もいなくなったため、銀行強盗も誘拐もやりたい放題である。

そしてこの4本のアームが強いんだわ!

 ノー・ウェイ・ホームの予告に出てきた際には「こんなの体を狙えば楽勝じゃないか。グリーンゴブリンと違って生身の人間なんだし」とか思っていたけど、この4つとも高性能な人工知能を持っているから、宿主の指向制御なしに独立行動する。核融合するための物質を触ったり制御するための存在故に頑強かつ精密な動きも可能。背後を取ろうとしても1本腕がこちらを見れば対応されてしまう。その強さは最後までスパイダーマンが破壊できないほど。

 空を飛ぶグリーンゴブリンは厄介さはあっても恐ろしさはあまり感じなかった。だがこのアームをつけたドクターオクトパス、恐ろしいんです。重量感あるアームが壁をつたってわさわさ動く様はモンスター映画だ。歩くだけで周囲の大地が震える。「迫ってくる」という緊迫感が凄い。

圧巻の戦闘シーン

 車を投げつけてきたり人を投げてきたり、とにかくその強力なアームを使う攻撃方法が面白い。自分自身の制御と半ば自立している人工知能によって隙がない。背面はまず安全、前面は生身だから……と思っていたけど、弱体化していたとはいえスパイダーマンの攻撃に耐えているので、スパイダーマンスランプ中に何らかの強化が施されている可能性あり。

 その後の時計塔から電車上での戦いはもう一度、更にもう一度見たくなる出来。ワイヤーアクションがかっこよすぎるし、駆け引きも、ピンチの描写も、緊迫感がまるで途切れない。本作最大の見どころであります。

割と律儀

 スパイダーマンへの復讐に燃えているハリー・オズボーン。化物になる前のドクターの核融合実験に多額の金とトリチウムを出資していたが、「もっと寄こせ」と迫られた際、
「スパイダーマンを連れてこい」と交換条件を提示する。

 ハリーはスパイダーマンの正体を知らないので、スーツを見繕って誰かその辺の適当な人物に着せてから拘束、渡してトリチウムだけゲット。なんてことも可能だった。でもしっかりとスパイダーマンを生け捕りにして差し出す辺り、約束は守る律儀な面がある。化物の振る舞いをしている中で理性的な面を持ち合わせていることを知ると、これは化物というより怪物に近い何かへと変わっているんだと一層感じます。

スパイダーマンの覚醒

ヒーロー廃業まで

 この映画はピーターが「ヒーローになった事への苦悩」「ヒーローとして決起・覚醒する」映画です。前作を見てから本作を見ると彼の成長を余すところなく見れる。

 序盤からスパイダーマンとしての活動・活躍をするのですが、新聞社はいつも悪役扱いにするし、感謝されても謝礼金はもらえない=仕事に遅刻してクビになる、ガールフレンドには疎遠になり、親友のハリーからは不審がられる。言えない秘密に押しつぶされていく。「愛を秘密にしてはいけない。愛のように複雑なものを胸に貯めこむと……病気になる」という、実験失敗前のドクターが教えてくれた言葉が中盤のピーターに重くのしかかる。

 能力が使えなくなり、身体能力も弱体化し、スパイダーマンであることに嫌気がさし始めたころ病院に行くと「スパイダーマンであることをやめればいいのでは」という的確なアドバイスをもらうことになる。

 するとどうだろう。ピーターの生活は充実を取り戻した。大学にも遅刻せず、仕事も出来(凡ミスする)、新しいガールフレンドも見つけた。……だがそれでも、街中での喧嘩を見逃すことさえ心に針を刺された感覚に陥る。もう自分は二度とスパイダーマンにならないとスーツも捨てたのに、だ。

ヒーロー:ピーター・パーカー

 火災が起きたとき、序盤ではスパイダーマンに変身して難なく住人を助けることが出来た。しかしただの一般市民になったピーターの目の前に大火災が突き付けられ、中に子供がいることを伝えられるといてもたってもいられず、水も被らずに火炎渦巻く住宅に単身飛び込む。

 このとき彼は初めて、スーツも着ず、ただのピーターとしての本音剥き出しの行動に出た。身体能力は多少あるとはいえ、蜘蛛の巣も使えない、壁を這う能力もない時点でこういう人命救助に命を投げ打つことが出来る。これはまさしく、ヒーローである。

 医者の言うことはやはり正解だった。「スパイダーマンになる必要はもうない」。何故ならもうピーターは変身せずとも、親愛なる隣人スパイダーマンなのだから。

電車戦

 多くは語れない。ただ、「親愛なる隣人」とは何かを存分に見れるシーンがあるから、見てない人は見てくれ、頼む。

決着をつける人物

 そして極めつけにこの映画、最後の最後に核融合が制御不能に陥り、ドクターオクトパスしか解除方法が分からない状況に陥ってしまう。スパイダーマンとして戦って正気を取り戻した彼に語り掛けたのは、スパイダーマンの皮を脱いだピーターだった。ピーターがこの映画の敵を説き伏せる。このシーンは本当に感動で胸がいっぱいになった。

端役たち

MJ

 とんでもビッチ。いや、ヒロインを悪く言うのは私もどうかと思うけど、彼女のムーブは本当に理解に苦しむ。何というか、気もない相手をアクセサリーみたいにとっかえひっかえしているようにしか見えない。今ばかりは地獄にいるだろうオズボーンさんに同意するわ……。ハリーはこの人と別れて正解だったよ。

ハリー

 踏んだり蹴ったりで同情するけど、父親がグリーンゴブリンだと最後に知ったうえでスパイダーマン=ピーターを殺そうとするなら同情の余地はないね。次回作で出るのだろうか? いや出るだろうな、このスパイダーマンシリーズは3で終わりだし。

編集長

 相変わらずマスゴミ。でも清々しいくらい一本筋通ったマスゴミだから不思議と憎めない。「スパイダーマンをメディアの力でぶっ潰したぜ!」と勝利宣言もするが、じゃあこの町をだれが守ってくれるんだ……ドクターオクトパスも無敵のメディアの力で何とかしてくれよ!?

メイおばさん

 生活困窮者の哀愁が半端ない。20ドル渡すシーンは悲痛。ピーターがヒーローとして再起するためにどうしても必要不可欠だった、最重要人物。というかヒロイン。MJよりもヒロインしている気がする。

個人的に聞いてほしい曲

 テレビアニメ「SSSS.DYNAZENON」OP、【インパーフェクト】。

 マジでぴったり。多くは語らないけど、映画を見た後に聞くと涙が溢れる歌詞と曲調。もしもアマプラでみることがあれば是非とも聞いてほしい。

 今回はここまで。明日に迫った最新作スパイダーマン公開を前に、

「スパイダーマン3」「アメイジングスパイダーマン1・2」の3作が控えているが、何とでもなるはずだ!

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。