シャインポスト4話「玉城杏夏は《目立たない》」 ネタバレ感想

ゲキおこ合戦

 センターに据えられ、初のセンター曲「一歩前の世界」を歌うように指示されて怒る杏夏。せっかくのチャンスではあるけど、既に引き立て役に徹することを選んだ彼女にとっては度し難い干渉だった。「余計なことをするな」とばかりに食って掛かる杏夏、それ以上に怒っていたのが雪音さん。

 既にデビューしているなら臆するなと一喝入れるし、「貴女には関係ない」と言われると拳を握りしめて熱く語るなどいつもと違う彼女。かなり熱いねえ。ライバルとして、やっぱりもどかしさが募っていたんだろう。

誰かにとって特別な存在になりたい

 杏夏は真面目な子で、ずっと言われたことをこなしてきた。1つでいいから特別なことをしたいけど何をすればいいかわからない。そんな彼女が友人の誘いでライブに行き、蛍という特別な存在に出会い、そして誰かの特別になりたいと、アイドルを志すようになる。ファンになるのではなく、感化されてアイドル入門するっていうのはそう簡単なものではない。自分にはそんな才能などないと卑屈になりがちだ。挑戦する心意気だけでも称賛に値します。

 しかし世間は無情。いくつ応募しても全然掠らず。今所属のブライテストでオーディションをした際にも、「君だけの特徴が見えてこない」とジャッジされた。その後、社長の優希にスカウトされて合格。この社長、直輝みたいな特殊能力持っているのかもしれないですね。さしずめ『才覚のある者が輝いて見える』とかそういうの。

壁となる特別

 末端とは言え憧れのアイドルになれた杏夏。しかしそこには「青春天春」がいた。基礎からして違う、存在(モノ)が違うと理解し、自分では勝てないと悟って引き立て役になることを選んだ。

 ところで1本足で立つ杏夏ちゃんが物凄くよくないですか? このシーンだけ何度も一時停止して食い入る様に見てしまう。ポーズの色っぽさもですが「どうにかして天才に追いつきたい」って感情むき出しの、引き立て役には似つかわしくない野心めいた視線が良い。杏夏の性格がよく出ている。

 そんな中で自分も特別な存在になれる可能性があったセンター。しかしそこで失敗したことで、やはり自分は特別になり得ないと痛感する。でも「TiNgSは春がいてこそ成立するグループ」と、さり気なく理王様ディスっていますねえ! あれはあれで愛され枠だから必須だぞ!

 気分的に帰りたくないと、立ち寄ったヴァンヴァアヴァーハンバーガー店で目にしたグループのポスター。チケット配りでも触れられたHY:RAIN。共に1周年が近いのに、方や2000人を集めるハコ、方や万単位確約。開いた差は歴然だ。「もしかしたら自分は引き立て役にすらなっていないのではないか」なんて思っていないことを祈りたい。

今回のハイライト

 自分も特別な存在になりたい。私もアイドルなんだ。そう思っていたら若い女子たちに気付かれてちやほやされて…………そんな妄想をしてしまう杏夏。きっと誰もが一度や2度では効かないくらい妄想する、「有名になった自分が持ち上げられる」シチュエーション。しかしそれを実力で示せるハズのアイドルになったのに、どうしてそうならないのだろう。どうしてこんなに惨めなんだろう。そしてそんな惨めな自分でも特別になりたい夢を捨てきることが出来ない、なり得ないとわかっているのに。ぼたぼたと溢れる涙に共感せざるをえない。

アイキャッチがげきかわ。杏夏ちゃんにズブズブハマリかけている。

誰かと比べる特別とは

 自分の中にある特別とはなにか。他人に特別を見出すことは簡単でも、自分の中に特別を見出すのは難しい。それはきっと誰しも同じことで、杏夏ちゃんがここまでメンタルを崩している要因も、誰もが通る道。ましてや、わかりやすい比較対象が同じグループで、「特別になりたい」野心をもっているのであれば、なおさら焦りは増すばかりだ。年頃の子であれば大粒の涙を流してでも藻掻く。

 MCという引き立て役、「私の役割」で正しい立ち位置をカバーしても、「それで十分」とは微塵も思っていない杏夏。雪音の案内でその現場に居合わせた直輝は、「引き立て役」やポジションなどのやるべきことや居場所、居るべき場所などの会話の後に

「アイドルは正しいことをするんじゃない。やりたいことをやるんだ」

 誰かの特別になって笑顔にしたいのなら、我慢するよりも思いのままにやったもん勝ちだ。いくら失敗しても這い上がれ。どこかの穴掘りも言ってた。「穴を掘るなら天を突く! 墓穴ほっても掘り抜いて、突き抜けたなら、俺の勝ち!」

 自分の歩んだ道にファンはついてくるし離れもする。それでいい。直輝の言葉によって心の淀みが晴れた杏夏は崩れたメンタルを取り戻した。

「でもピクルスは食べましょう」「はい」ケイが聞いたら切腹と言われかねない案件だ。(この後別件で切腹!)

「15歳は育ち盛りだぞ」

 雪音さんが、ライブ前に不安が押し寄せる杏夏ちゃんにアドバイスをしてくれた。なんて大人なんだ……きっと高校を卒業しての18歳なんだろうな……(公式HPを見る) 16歳じゃねーか!! 君こそまだまだ遠慮するなお米食べて歌って踊ってけ! このセリフは「欲張って食べ過ぎで苦しく膝を屈しても、恥ずかしいとか思わずがっついていけ」なんてメッセージを感じる。数多の感情は将来きっと役に立つ。

最初の1歩で駆け出せ

 杏夏のセンター曲『一歩前の世界』。

 最初は思い切り緊張で震えた拙い歌い出しで、褒めるべきところはない。しかし、杏夏が自信を持って歌い出すのと同時に、彼女こそが特別な存在と信じているトッカさんが一緒に歌ってくれるのが良い。歌唱力などここからいくらでも巻き返せる、ここまで応援してくれるファンが居るなら恐れを感じる暇もなし!

 キッチリと震えた声を立て直して、誰にもセンターを譲る気のない、野心を抱えて全力歌唱する杏夏の姿にフロア熱狂。今ならば春ちゃんを引き立て役に出来るだろう勢いだ! 私自身もう食い入るように杏夏ちゃんの勇姿を見守っていた。

 しっかり最後にファンサでトッカさんの胸を撃ち抜く。

推しが念願のセンターに立ち
トラウマだっただろうセンター曲を歌いきって克服し
眩しいライトと歓声を浴びて昇華される中で
自分に対するファンサをしてくれる

 トッカさんが気絶したのも無理はない。特別な存在が自分に向けてくれた特別な想いなんて私でも絶叫ものだ。

次回は理の王者様。おっ、ダンスレッスンでもするのかな?


サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。