スパイダーマン3感想

 ノーウェイホームは見ましたよ。最高でした。……が、今はまだ語らず、過去作のおさらいに徹します。語るとすれば自分のブログページです。

 さて、トビー版スパイダーマンの3作目は、これまでとは趣向を変えてバトル偏重になります。ストーリー性が薄いです。2作品目でスパイダーマンとしての存在意義を確立してしまいましたので、最早やることはないと私も思っていたのですが……ありました。

※この先ネタバレを含みますのでご用心。

本作の敵

 本作には過去最多の、なんと3名のヴィラン、そして最凶の敵が1人存在します。よくばりバリューセットです! ストーリー性薄いのもこのせい。各キャラの掘り出し期間が短いのが玉に瑕。

サンドマン

 かつて、ベン・パーカーを殺害した男。実はスパイダーマンが追い詰めて滑落死したのは単なる強盗犯であり、殺人犯はこっちというオチ。砂男とあるが、最初から砂男であったわけではない。

人物像

 殺害後に妻と娘と生き別れることになり、娘に会いたい一心で脱走。娘に会うことは出来たが、その後は警察に追いかけられ、その果てに誤って研究所の実験施設にin。丁度行われる予定だった「素粒子分解実験」に巻き込まれてしまい体がチリレベルにまでばらばらになってしまうが、体が砂になれる男、サンドマンに変身するのだった。……これまでの「肉体強化を施したグリーンゴブリン」「人工知能搭載のアーム」とは違って、かなりぶっ飛んだ怪物。そもそも精密実験を行っている割には警備も確認もガバガバって突っ込みがあります。ファンタジー世界なら許されるような設定だ。

体全てが砂

 スパイダーマンの拳による物理攻撃を「スナァ!」と無効化。砂粒になって風に乗り去ることも出来るチート。戦闘後はスーツ内に砂がじゃりじゃり入る。嫌がらせ以外の何物でもない。砂化している間でも攻撃可能なので「一方的に殴られる痛さと怖さ」を教えてくれる。因みに砂の総量次第で巨大化も出来るので「SANDOMAN → ANTOMAN」ってコトぉ!?

弱点

 有効的ダメージを与える手段は限られているため、対策なしには初見撃破は無謀。逆に対策手段さえあれば一般ポリスメンでも倒せる。

銃撃:体を構成する砂を一時的に散らせる。足止め程度にはなるが致命傷にはなり得ない。

水に落とす:これではサンドマンではなくスワンプマンだ。全部水に流してしまえば砂が体を維持出来ずに散り、水底に落ちていく。一見完全勝利だが沈殿したら形を戻せるので時間稼ぎにしかならない。

火炎:砂を燃やすとガラスになる。ガラスになった部分は操れないらしいので、現状これが最有力攻略手段。全部ガラスに出来れば実質死ぬが、その前に撤退される可能性が大きい。

 サンドマンを倒す際には、大量の密閉ケースに砂を小分けして封じ込めればよし。ただし砂を得ればまた増えるので、短期決戦が求められる。

ニューゴブリン

 1では恋人をピーターに取られ、2ではひたすら敵討ちに執心し、スパイダーマンの正体を知って絶望していた可哀そうなハリー君。彼が父の遺産を元にして成ったヴィラン。スパイダーマン憎しと襲い掛かるが、厳つい仮面を付けずにイケメンヴィジュ。お父さんだって若かったらこうなりたかったのかもしれん。スケボーみたいなフライングマシーンも若者っぽい。

人物像

 トビー版スパイダーマンの3作全てに出ているので今更感はあるが、父親の死を皮切りにスパイダーマンへの憎悪を燃やし、父親が数年前に暴れまわったグリーンゴブリンだったと知ってもその感情が変わることはなかった。でも父親は悪事の末に討伐された、それは社会的にも客観的にも正しいことだと、薄々気付いていたと思う。気付いていたけど復讐のタガをかけ直すことは出来なかったのだと思うと哀れだ。

残虐性は足りない

 全体的ポテンシャルは旧グリーンゴブリンと全く同じだが、ハリー自身には心の弱さがないため二重人格を得るには至っていない。そのため父親のような凶悪・残虐・残忍な事には及べない。スパイダーマンを退治したらそのまま引退しそうなほど、スパイダーマン以外にはまるで興味がないので一般市民への被害はほぼなし。

ヴェノム

 体を乗っ取ってきたり襲い掛かるなどの厄介な存在ではあるが、意思疎通が出来ない。スパイダーマンに寄生後、しばらくしてピーターに怒りを燃やすエディを新たな宿主にします。

 ここで注意すべきは、最近公開された映画【ヴェノム】単作に登場するヴェノム&宿主のエディとは別物の存在だということ。正直言って本作のヴェノムは「とりあえず登場してみた」感が強いため、そこまで強そうにも見えないし魅力もないヴィランだった。「なんかキモイ敵」くらいの認識。

人物像

 ヴェノム自体の性格はとにかく凶暴。宿主の攻撃性を増幅させ、不良ピーターが誕生した。勘違いしたオタク君が覚醒させたという意味ではナイス狂言回しです。

 宿主のエディは、不良状態のピーターに「画像改竄」をみんなの前で暴露され破滅し、その復讐をピーターにしたいと神頼みしているところでヴェノムに宿主認定されます。……画像改竄をしたのは自分の意志だし、後々バレるだろうしで、ぶっちゃけただの逆恨み。動機が薄い。お調子者でガールフレンド(と思っている)女性がピーターに取られての嫉妬もメラメラだ。

弱点

 触手も使うし頑丈だし宿主には従順と、攻撃性が高まるデメリットを除けばこれほど心強いバディはいないだろう。弱点は鐘や金属の振動音。しかしその弱点が簡単に看破されたため滅茶苦茶弱いと感じてしまう。

最凶の敵とは?

 MJ。奴はヤバい。あの女性とは一刻も早くピーターは縁を切るべきであるけど、運命的(脚本の都合)で恋人なので切れない、ヴェノム以上にヤバい存在。

 前回のスパイダーマン2でラスト、花嫁になる直前で結婚式をドタキャンし、いつも一緒にいられないし疎遠になることも多いと分かれていたピーターに「それでもいい」と愛を告白した。

 ……にも拘らず、本作では「寂しい」と言ったり、自分が舞台を降板させられたこと、脚光を浴びるスパイダーマンに嫉妬するなどで怒りを露にするなどの「2作目のあれは何だったんだよ」と唸るほど酷い。皆の人気者スパイダーマンで良いと許容したんじゃあなかったのか?? 挙句記憶を失い温厚になったハリーと寄りを戻そうとするシーンがあったりとねえ。

 ぶっちゃけますと不良ピーターがMJに見せつけるように新恋人候補とダンスするシーンは拍手喝采した。ざまぁwwwと笑いたい衝動に駆られた。

 仮にもヒロインだし……と思ってたけど、個人的にこの作品でのヒロインはメイおばさんに他ならない。

不良ピーターさんに爆笑しよう

 ヴェノムに寄生されたことにより攻撃的になるピーターさん。態度は悪いし喧嘩っ早い。ガールフレンドをアクセサリー感覚で付き合っているし、腰振りダンスなんかも決めます。良い感じのスーツを購入したり、勝手に店のピアノを弾くなどやりたい放題だ。不良ピーターさんの悪童っぷりは爽快感溢れます。

本作のテーマ

「復讐」がメインテーマです。スパイダーマンへの復讐心に身を焦がすハリー。真の殺害犯に殺意を持つピーター。ピーターに人生を破滅させられた(と勝手に思っている自業自得男)の復讐心。

 復讐心というものに対する答えを、この作品の前に私はハートキャッチプリキュアで学びました。「憎しみは誰かが歯を食いしばって耐えないといけないんです」という、中学生女子が言い放った壮絶なセリフ。連鎖する復讐心、憎悪は、やられたものを返していくから巻き起こる。そんなテーマが盛り込まれています。なお、復讐をしても無意味という言も、復讐をしたらスッキリするというのも、個々人によりけりです。

最終決戦が面白い

 とにかくこの作品はバトルやMJによる振り回しが多め。地球外生命体や分子バラバラ人間に怒髪天の親友など盛り沢山だけど、町の被害規模は実はそんなに大きくなかったりするから不思議だ。ピーターの導く結末を見ましょう。

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。