機動戦士ガンダムZZ感想(各キャラクター編)

 先日水星の魔女を見終えた後、Zガンダムの次作品『ZZ』をまだ十数話ほど見終えていないことに気付いたので急いで視聴。ではまず最初に

※この記事は『機動戦士ガンダムZZ』『機動戦士Zガンダム』のネタバレを含みます。これから見たいという方はすぐさまこの記事を閉じ、ZZが見れる最寄りのサブスクに突撃してください。

※また、良いところ悪いところ包み隠さないため、そういうのは嫌という方はブラウザバックを推奨します。

 それではキャラクターに関する個人的感想をどうぞお楽しみください。


そもそもZZってどんなお話?

 ZZ(ダブルゼータ)は、前作Z(ゼータ)ガンダム直後から始まる、宇宙世紀シリーズの正統続編。Zガンダムにて行われた凄惨な主導権争い『グリプス戦役』によって、地球連邦軍のエゥーゴもティターンズも頭目やエースを失い壊滅状態だった。しかし第3勢力として現れた、ハマーン・カーン率いるアクシズは余力を残したまま生き残ったため、漁夫の利を得るかの如く急速に版図を広げることになる。

 そのため本作の目的は『ハマーンの野望を打ち砕く』に終始、最後までラスボスの座は揺るがなかった。

 Zガンダムのような戦争・勢力図争い・政争・権謀術数・終着点が最後までわからない等の難しい要素が廃されて、できる限り分かりやすく作られている。それはZZの1話「プレリュードZZ」を見れば納得できるでしょう。硬派な作りのZとは違い、子供向けに仕上がっている。

 しかし「明るく分かりやすいガンダム」として世に出したは良いものの、そもそもこの作品は3作目であって、Zガンダムからの登場キャラも多いし初代からの繋がりも当然あるため、ここから見始めるのは結構大変な気もする。

 そんな新機軸のガンダムを背負う主人公は「内気で戦いを嫌う少年」「血の気が多く繊細な少年」ではなく「逞しく戦後を生きる少年」ジュドー・アーシタだ。陰鬱な雰囲気もあったZを吹き飛ばすくらいのバイタリティ・強靭な精神を兼ね備えた THE・主人公 である。

 序盤は明るくギャグも交えた作りになっているが、後半に差し掛かる際には『戦争によって狂わされた人々』による悲劇が目立つようになる。個人的にシリアスへと傾倒していくターニングポイントは間違いなく21話「泣き虫セシリア(後編)」からだろう。ZのBGM『宇宙を駆ける』が流れた瞬間全ての風向きが変わった。

ガンダムチーム

ジュドー・アーシタ

 強い。戦闘センスも強いが、メンタルが強い。心が強いので中々折れず、折れてもすぐに立ち直る。最後の最後まで諦めずに説得を試みるなど優しい心も持ち合わせている。不自由な生活のシャングリラ育ちだからか「何でもやってみる」精神性が良い。女装もする。普通に命令を無視したりするから軍人としてみると評価は下がるが、そもそも軍人ではないので気にする必要はなし。これと言った欠点のない本作屈指の良キャラ。聖人。

ビーチャ・オーレグ,モンド・アカゲ

 序盤を見ていると「コイツら早く船から降ろして」と思うくらいにはどうしようもねえ奴らだった。裏切るし利敵行為もしてたし、子供のやることだからと目を瞑るには余る行為の数々だった。船の居場所を敵に教えるとかやばすぎて笑ったわ。それ故に精神面の成長がジュドー以上に目立つ。モンドが最終回付近で死者にドライな台詞を吐いて怒られた後の台詞は、色々なことを経験した彼だから重みがあって好き。最終回付近ではすっかり垢抜けている。何やかんや逞しい子供だった。

イーノ・アッバーブ

 良いやつだけど影が薄い。気弱で日和見だったり少しだけ芯が強かったり、操縦もこなすし活躍は結構あるのだが、精神面の成長という面で前述のビーチャやモンドの影に隠れ、操縦センス等はジュドーに譲り、じゃあ恋心とかそういう視聴者の目に止まりそうな部分がほぼない。『Zザク』の人って印象が強い。

エル・ビアンノ

 ヒロイン枠のハズなんだがヒロインとは思えなかった。序盤は悪ガキメンバーの紅一点であったが、周囲が成長していく中で彼女だけ精神的成長があまり見受けられなかった。ツッコミ役として機能すると思っていたのにヒステリックに喚くさまも目立つ。操縦技術はそれなりにあるけどネームドの撃破に至っていないのでそっちの活躍もまあまあ。印象的なシーンが殆どない。

ルー・ルカ

 悪い意味でも常識人。あまりにも普通の感性を持っているため子供の馴れ合いにはあまり参加せず、馴染めないと見るや勝手に出撃して出奔仕掛けるなど極端。ジュドーの妹が死んだかもしれないという局面で、作中最大級にジュドーが落ち込んで出撃できないという深刻な場面でかけた言葉が「世の中には理不尽に死んでいく人がたくさんいるんだからメソメソしない」という感じの一般論押し付けだった。思いやりの欠片もねえ! その後ビーチャとモンドから受けたささやかで理不尽な仕返しには溜飲が下がる思いだったよ。あれはGJだった。よくエルとは口論しているのだが、「なんかこういうのエルガイムで散々見たな」と既視感。

リィナ・アーシタ

 メインヒロイン。カテゴリ的には一般人かシャングリラメンバーだが、便宜上ガンダムチーム。ジュドー同等の逞しい子供故に、誘拐された後の英才教育にも音を上げることなくひたすら兄の助けを待つ。何度も攫われるし死んだかもしれないという場面も用意されたりして終始ジュドーの中でひときわ大きい存在感の女の子だった。だからかジュドーが恋をする場面が作中全く見受けられなかった。ZZのヒロインは彼女で間違いない。

地球連邦

ブライト・ノア

 Zガンダム時代の強い艦長ってイメージがすっかり鳴りを潜めている。後述するエマ・リーとの不倫関係(未遂)からくる「まるでだらしない大人」の場面が多いからか。あとはジュドー以下悪ガキ共の面倒に苦心するお父さんポジションである。それでも頼もしい場面は結構あるのでご安心を、そもそもあんな戦力+地球連邦の腐った輩共の板挟みの中でよく立ち振る舞い、生き残ったと称賛したいくらいだわ。

アストナージ

 とりあえず彼がいたら安心安全。そんなメカニック、アストナージ。

トーレス

 取り立ててメイン回はないけど、ジュドーたちとの絡みもあってそれなりに目立っていた印象。セシリア回では結局「何も知らず」に終わったのが無情である。(彼は悪くない)

ハヤト・コバヤシ

 気付いたら死んでた。何というか、「死ぬ必要あった?」と思う場面であっさりと死んでしまったのでびっくりした。初代ガンダムはまだ見ていないけど、Zガンダムでは家庭を築いて頑張っていたのになあ。

ファ・ユイリィ

 ずっと看護のイメージ。グリプス戦役を生き抜いた数少ないエゥーゴのパイロットにして序盤最大戦力なのに操縦センスでは初期ジュドーに劣る。あれだけ死線をくぐり抜けた割にパッとしないのは、そもそも彼女に戦争の才覚がないためでしょう(あってたまるか)。物語序盤で早々に離脱し、精神崩壊をしているカミーユの看護に回る姿は甲斐甲斐しかったが、それ以外では取り立てて目立つ描写はなし。

カミーユ・ビダン

 シロッコによる最後の攻撃で精神崩壊を引き起こしてしまいほぼ寝たきりか車椅子、或いは海辺など「快活に駆ける少年」ではなくなっている。彼もまた戦争の被害者である。作中では謎のNT交信で援護する場面などもあったが、それっきりで、後はほぼ活躍がない。あれ結局なんだったのだろうか??? 最後の最後、グリプス戦役で生き残ったハマーン撃破後の世界ではようやく元気に砂浜を駆ける姿が見れて良かったと思った。

エマリー・オンス

 色ボケの不倫女。……あまりにも酷い評価と思うかもしれないが、後半のやらかしを思うとそう言わざるを得ない。個人的に見て結構な美人さんなのでビジュアル面だとトップティア、それでも酷評。彼女の地位が下士官とかならまあ許せたのだが、副艦長を務めることにもなる立場でありながら戦場でお花畑の色ボケを披露したり、やたらとブライトへの体裁を気にするあまり受けなくてもいい損害を被ったり、挙げ句深追いというか要らんことをして敵の逆鱗に触れるなど「多数の命や艦を預かる立場の人間がこれでどうするんだよ」と頭を抱えたくなる。そのくせ後述するプルよりも死後の扱いが丁寧なのが余計理不尽に感じる。

ネオ・ジオン

ハマーン・カーン

 揺るぎない本作のラスボス。前作のキュベレイから機体交換はないので、新鮮な気分にはならない。想像以上に冷酷非情で、自分を慕っていたマシュマーへの仕打ちや彼の死後にかけた言葉などからは「彼女にも可哀想な人生があったんだろうけど生かしておいたらいけない人間だ」と思わせるのに足る。誰も寄り付けないくらいの女傑でありながらジュドーに対しては比較的柔らかい態度で接してくる、かと思ったら射殺しようとする、ビビり散らかしてベッドにこもるなど「ふっ、おもしれー女」みたいなことをする。あとその妙な仮面(みたいな装飾)、誰の発案だったのだろうか……。

マシュマー・セロ

 味方になると思っていた前期OP。色ボケ度合いならエマリーと大差ないのに嫌悪感が湧かないのは、まだ作品がギャグ調だった物語序盤だったからでしょう。左遷された後戻ってきた時にはまるで別人に強化されていた。俺たちの明るく一途なハマーンの犬を返せ! 彼への仕打ちのせいでハマーンの評価が一気に下る。「何の光!?」いやマジであれ何の光だったんだ? 自爆の光にしてはめっちゃ輝いていたよ。

ゴットン・ゴー

 腰巾着が外道になった瞬間死んだ。そんな印象。

キャラ・スーン

 キ ッ ツ イ。いやもう、本当にキッツイ。多分お色気枠なんだろう、やたらと胸の主張が激しい……のに色気以上にキツさがあって無理。主義主張もふわふわ過ぎて、仲間になるかならないかギリギリの綱渡りしていた感じ。お付きがジュドーに対して「お前と出会ってからキャラ様がおかしくなった」と言うシーンがあるが、その前から十分おかしかったよ。何やかんやマシュマーほど壊れてはいないけど十分ヤバい奴。敵も味方も人材難だ!

エルピー・プル

 まともに葬式してもらえなかった可哀想な子。ジュドーを翻弄したり、彼を思うあまり空回りしたりするなど可愛らしい一方で、砂漠任務中に貴重な水を浴びるように使うわ勝手に出撃するわなど問題行動が多すぎる。振る舞いはサークルの姫(超偏見)。綺麗な花には棘があるを体現するような子。実力はジュドーに比肩するかそれ以上だったが、36話「重力下のプルツー」で敢え無く戦死。……したけど、それ以降彼女の死を悼む描写がほぼ存在しないと言うか、ない? 見逃した? 37話に進んだはずだけど実は間にもう1話分あった?? そう思うくらい、「プルなんて子は最初からいなかったのよ!」な扱い。エルガイム見ていた私、最愛のキャラがアムなので、同じ声優のプルのあまりにもあっけない末路に泣いた(泣いてない)。

グレミー・トト

 シャアになれなかった男。整った顔、毒と分かっている部下も扱う等の器量、首の皮一枚で生き残る悪運等で着々とハマーン討伐の準備を進めるお坊ちゃん。彼は戦争の被害者と言うか、ZZという作品の被害者というか……色に現を抜かすお坊ちゃんだったのに後半すっかり冷酷な奴になってしまった。その最期は自分が手塩にかけて作り上げた強化人間に逃げられ、追いかけた瞬間、意中の女性に狙撃されるという序盤のやらかしが巡り巡った形。プルシリーズを作り上げたりして尖兵にするなどの発想は良かったが、ハマーンほどのカリスマや風格、覚悟および操縦技術は備わっていなかった。

オウギュスト・ギタン

 ZZありがちな「なんかよく分からん場面でネームドが死ぬ」問題の被害者である。名前は特徴的で覚えられるけど何してたかはよく思い出せない。グレミーに忠誠を誓った回であっけなく死んでビビった。

イリア・パゾム

 ジュドーとの戦いにおいて電撃が走って行動不能になったりしていたけど、複線化と思ってたのに結局何だかよく分からんまま謎のまま、終わってしまった。強化されすぎたマシュマーの腹心……ではなくハマーン様からのお目付け役。それなりの活躍していたけどそれなりでしかなかった。というか明確な死亡シーンあったっけ? なかったかもしれない。

ラカン・ダカラン

 ドーベン・ウルフに乗った軍人気質で筋金入りの軍人。汚い任務であってもやり遂げる忠誠心など、味方にいたら頼もしい限り。敵なので結構憎たらしい場面が多かった気がする。名前が覚えやすい。ドライセンに乗って出た時はすぐに死ぬと思ってた。

プルツー

 悲惨な子。プルの凶悪な部分を研ぎ澄ましたような性格で、巨大MAに乗ってガンダムチームに立ちふさがる強敵の印象。しかし精神崩壊寸前+肉体的に限界などの苦痛、更には人格乗っ取り(元々一緒?)等で結構尊厳破壊されている可哀想な子である。とりあえず初登場時スッポンポンでビビった、「最近のテレビってお硬いのね、昔じゃ全然アリよ?」とか誰かに言われそう。

その他

シャア・アズナブル

 OPで出た=どこかで出てくるだろう。そう期待して迎えた最終回まで、セイラさんとブライトの会話上でしか出番がないという異常事態。謀ったなサンライズ!!! 諸々の大人の事情で、本当は出てくるはずだったのに「逆シャアを別枠で作る」みたいなことになったせいで、一切出てこない。そのせいで後半の展開が「穴埋め」みたいなことになったりしてた。ハーレム王を目指すおっさんのお話、鉱山のお話など、あれは多分シャアが出ていた場合語られることなかったのではなかろうか。冷酷なグレミーや、強化されすぎたマシュマーもいなかったんじゃ……。やはり黒幕はお前だ、シャア!

ラサラ・ムーン

 ハーレム王の辺りで死んだ時は「あ、今の攻撃で死んだのか」と冷めた感じで眺めていた。モンドの成長に大きく貢献していた不思議のコロニーの住人、割と常識人ポジション。しっかり追悼もされる描写もあるので、プルの不憫さが際立つ。

ヤザン・ゲーブル

 ジュドー達が初めて組む大人という高待遇。しかしその後の扱いはギャグ落ち。明確な死亡描写がないので生き残っているだろうと思ったが序盤以後の出番はなし。一応生き残っているようで、本当にしぶとい。ジュドー達が間違った成長した場合の姿を映しているのかと思った。Zではハンブラビで編隊組んでいた輝かしき過去があるのに、こっちではわけわからんインパクト重視の重機メカに乗っているのが笑える。

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。