【短編小説】死に方10連ガチャ!

『貴女の死に方は、自宅でのどに餅詰まらせて死にます』

 或る日、日本各地に現れた謎のガチャガチャ機。それは、引いた者の死因を的中させるガチャだった。撤去しようにも、謎の力が働いて出来ない。

 餅を食べなきゃいいじゃないと息巻いていた女性アナウンサーは、数日後ガチャの内容通り餅を詰まらせた。何で食べたのかはわからないが、運命レベルで決定してしまうのだと専門家は言った。何の専門家だよと言うツッコミはSNSでめっちゃ取り上げられていた。

 しかし、デメリットばかりではない。死にかけで余命1時間の老人が、残された遺産を溶かしてガチャ引いた所、

『貴方は1年後、謎の生物に撲殺されます』と出た。老人は生き残れたことを喜んだが、【謎の生物】とは何か専門家(笑)が協議している。

 そんな老人の奇跡的ガチャからそろそろ1年経とうという頃、ようやく俺はガチャを引くことが出来るようになった。というのもこのガチャ、高いのである。10万円で1回しか引けない。1回だけで良いと思っている人にはもう一つ追加で良いことを教えよう。

 このガチャ、上書きが出来るんだ。よりよい死に方をするには、ありったけの財産が必要なのである。というわけで、10連可能な100万円をどうにかため込んでここにいる。

「まずは1投!!」

 お金を入れてレバーを回す。がちゃがちゃ。飛び出たカプセルには折りたたまれた紙がある。予言書みたいなものだ。

『あなたは数日後、パチンコで負けた腹いせに自殺します』
「最悪!!!? 次ぃ!!」

 数日後と定められた因果は、1時間以内に引き直せば変更可能だ。残り9回で良いもの当てねば酷く死ぬのみ。

『あなたは、恋人からストーキングされて精神を摩耗し、禿げあがったショックで自殺します』
「そこはせめて刺されてよ!!? 次ぃ!!」

 因みに今ここでやめると、禿げかパチンコのどちらかを選ぶことが出来る。これも1時間ルールらしい。なんちゅう仕様だ。

『3分後、空から女の子が堕ちてきて死にます』
「ゴミのような死に方ぁ!!」

『トラックにはねられて死にますが、ゾンビになって復活します』
「異世界行きたかったな!! 俺アイドルじゃねえし次!!」

『トラックにはねられて死にますが、ゾンビになって復活します』
「まさかのダブり!?」

『あなたは数日後、謎の組織に連れ去られて改造手術を受けます。怪人になったあなたは、正義のヒーローに倒されます』
「今の若い子知らん!!」

『餅をのどに詰まらせて死にます』
「同じの見たよ次!」

『数億年後、太陽の温度がホッとして死にます』
「俺は人間として生きたいから次!」

『明日死にます』
「雑ぅ!!!? ……ん??」

 空から何か……降ってくる!! しまった、このガチャ、結果の選択しないと全部の中で一番早く死ぬものが選ばれるんだ!! ここから変更効くのか!? 落下物は絶対これ……女の子!!

 見上げれば確かに、落下物がある。白いもので、俺目掛けて落ちてくる!! 俺が逃げても、何故か自動追尾性なのか、そっちの方へと軌道が変更されるのだ!! 死んでたまるか! 美少女でも̪不細工でも、死んだらおしまいなんだから!

「ガチャ、最後の、良いのでて、頼むから!! 頼むから!!」
『世界が平和になったら死にます』
「不老不死確定じゃねこれ? これだ!! これしかない!! さぁ落ちてこい、何が来ても絶対に死なないから!!」

堕ちてきたのは、女の子……ではなく、人間型のロボットだった。
3分後の死は無くなった。つまり、今出たガチャの結果で確定したようだ。
人間型ロボットは武器を構えると、俺に銃口を向ける!

「やぁああああああ?!!!」

 俺の近くで爆発が起こった。ガチャだ。ガチャが爆発し、

『ギョェエエエエエエエエエエエ』

 奇声を発するグニャグニャした化け物に変化しながら、爆炎の中で踊り消えた。ロボットのコクピットが開き、中から美少女が出てきた。

【その化け物は「インガー」。見えない運命の糸を操作する不定形の化け物どもよ。私はそれを狩る美少女なの】

 自分で美少女言っちゃったよこの子。周りも俺も騒然だけど、何なんだいったいこのロボットは!!?

【世界の平和、そして宇宙の平和のために。私と戦うバディを探しているわ。衣食住提供してくれそうなアナタと組んでインガー消滅のために、力を貸してもらうわよ】

 こうして、俺の新たな人生が幕を開けることになった! インガー倒したりラッキースケベなことになったり、唐突な鬱展開やハーレム展開にワクワクする物語の続きは、全く予定にない!

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。