俺は全てを【パリイ】する 1話「俺は牛をパリイする」感想
「愚直」の一言に尽きる漢の物語
※この記事は「俺は全てを【パリイ】する1話」のネタバレ感想記事です。1話は今無料で見れるので興味あれば記事読む前に見て下さい。
冒険者にあこがれて
幼い頃に両親を亡くし、1人逞しく生きてきた少年ノール。彼は幼い頃に父親から聞かされていた「冒険者」に憧れていた。いつか自分も冒険者になりたいと思っていた彼は、辺境の家から離れて街へと旅立つ。
冒頭を除いて、彼が他人と会話するのに7分以上かかっている。長い長い孤独からの、多くの人間が集う街への旅は、RPGやり始めの時に味わえる「世界が拓かれる瞬間」そのもので見ているこっちまでワクワクしてくる。
優しさに溢れた先生
冒険者になるべくギルドに申し込みに行くと、王立の職業訓練所でクラスとスキルを磨けと言われるのだが、いくつもの訓練を受けても、下級魔法や局地的な場面でしか役立たないスキルしか覚えられず見込みなしと判断される。唯一まともなスキルは【パリィ】……攻めではなく守りのスキルのみだった。
ソードマンの先生 シグ
「これ以上は【君の時間】を無駄にする」
「恐らく君は別の道に進んだ方が良い」
無能と一蹴するのではなく、尊重と優しさを交えつつ才能がない=レベルキャップを伝えてくれる先生。目つき悪いのに物凄く慈悲深い。声色も優しいのですごく好きなキャラかもしれん。
ウォリアーの先生 ダンダルグ
「努力は認めるが(中略)このまま無理に進めば命を落とすことになる」
ソードマンと違い、ウォリアーは最前線で味方の盾役にもなるポジション。身体強化スキルを得たとはいえ、それだけでは苛烈な敵の攻撃に耐えられない。辛抱強く教えてくれたのだろうから有難い話だ。
ハンターの先生 ミアンヌ
「繊細な道具を扱うセンスが絶望的にない」
にゃにおぅ! と文句言いたくなったが、駄目にした弓の数が尋常ではなく多いので辛抱強かったよこの先生……弓が使い物にならないってどんだけ握力込めたんだ? やっぱり力方面の才能に溢れているんだな。実は先生連中の紅一点という驚き。
シーフの先生 カルー
「宝箱の罠も解除できず、気配も察知できない」
ぐっ……それはシーフ必須スキルだけにぐうの音も出ない。しかしこの声が強すぎる、実はラスボスだったりしない? まもなく最後の扉がとか言いださない?? 仮面付けているし??
マジシャンの先生 オーケン
「プチファイヤーのみ、お前さんほど魔法の才に恵まれない者も珍しい」
何か力任せのことしかまともに出来そうにないんだなってこの爺様は見抜いているのかもしれん。ハンターからここまで明らかに適正外だとわかる。ところで爺様、むちむちのマジシャン先生はどこですか? 私、魔法使いは性別むちむちでオーダーして(出禁)
クレリックの先生 セイン
「幼少期の祝福なしにローヒールを使えるだけでも凄い事」
褒めてくれるのは有難いが、それでもかすり傷のみか……慈悲深そうな先生だけど、その優しさは6つのクラス全てに失敗したノールには届きそうにない。
厄災のすべてを【パリイ】する
3か月×6か所の時間を費やして得たクラスはなし、得たスキルは
【パリイ】
【身体強化】
【投石】
【忍び足】
【プチファイヤー】
【ローヒール】
この中でもまともに使えるのがパリイだけというのが、冒険者として底辺級の器用貧乏。恐らく冒険者の集う酒場みたいな施設に彼がいても見向きもされないだろう。
非才な自分に対して世界や運命を呪い憎みたくなりそうなものだが、彼は「もっと努力するしかない!」とパリイを磨き上げることにした。
私がこの作品を最後まで見ようと思った瞬間である。
誰かを恨まない。両親から、人から受け取った優しさを無駄にしない。ひたむきで泥臭く、何事かを成したい、自分の信じた自分だけの人生をただ真正面に見つめて「あるもの」を駆使しようとするその精神性。彼は自分の身に降りかかった厄災のすべてを【パリイ】するのだろうと期待してしまう。
Q 何故パリイに絞って特訓した?
A 「ローヒール」や「身体強化」「プチファイヤー」等、魔力をあまり必要としない魔法しか習得できないことに加え、オーケン先生から「魔法の才がない」ことを告げられている、セイン先生から「幼少期の祝福」の話を聞いている以上、それらは鍛えても望みが薄い。
「投石」は遠距離攻撃スキルだが、恐らく威力は腕力と技量のステータス依存のため鍛えるならスキルよりも身体能力の方。
その上で自分でいつでも発動可能な「パリイ」であれば、身体能力向上に加え、派生スキルを閃く可能性もある。
事実彼の体は、ありったけの時間を努力とパリイに14年注ぎ込んだ結果、筋骨隆々で、アホみたいな威力のパリイを習得するに至った。パリイのレベルだけ上限なしなのかって程鍛えすぎてわけわからんことになっている。
最底辺の仕事
それでも結局はパリイ以外のスキルを覚えられなかったことに彼は失意に陥……りません! もう一回、14年ぶりにギルドに行くと仕事にありつけた。冒険者というより雑務担当というか、街の清掃とかそういうお仕事。それでも一応はFランク冒険者。アホみたいな膂力、器用貧乏なりに色々と仕事をし、嫌な顔せず真面目に取り組む。職場に欲しい聖人だ。こんだけの怪力ならハンマーとかの武器でどうにか活躍できないかなとか思ってしまう。
ノール「パリイが少し上達しただけだった」
あれは少しどころじゃない、パリイにランクがあるとしたら、あれはまさに…皇…帝…! そのひと振りで世界を救えるかもしれん威力だ。しかも魔力0で使えるし、何度でもやれる。戦略兵器級であることに本人は気付いていない。
VS 牛
そんなある日。洞窟から聞こえた声に反応して駆けつけると、牛がいた。
牛じゃねえ! ミノタウロスだ!! 馬鹿でかい背に無骨で肉厚の斧。ヤバイ、普通に考えて何で街中の洞窟にこんなのがいるんだと頭抱えるレベル。そういえばこの街真ん中に山あったけど、あれって何かを囲んで封印しているとかそういう感じ?
拘束されて動けない女の子、周囲には彼女を死守しようとする護衛。お姫様か? 木っ端のように斧で両断され吹き飛ぶ体と溢れる血しぶき。護衛達は1人、また1人と瞬殺されていく。
姫の護衛が弱いはずないので、これは明らかにレベルの差がありすぎる。ノール、流石に最初の戦いでこれはダメだ、大人しくこの場から逃げ
ません! そうだよね! 逃げるわけないよなあお前は!! 勝てるか否かよりも、守るか否かでしか判断しない大馬鹿者だよ、最高!
「投石」でヘイトを自分に向け、それからパリイで弾く。威力の向きを弾き飛ばすのか、ミノタウロスの突進すら真横に弾き飛ばす異常事態。現実に置き換えるなら車を弾き飛ばすようなものだと思うぞ! しかしこのパリイ、当然だが持っている剣の耐久度が足りないと壊れる。それでも1発で破壊されそうな威力を数発持ちこたえているので十分凄いけどさ!
おかしなことにこのミノタウロス、何者かの遺体につけられた指輪の光で標的をいきなり変更した。操作されている? あるいはその指輪の主がこのミノタウロスか? 姫を亡き者にしようとか言う陰謀だろうか。誰の差し金か知らないけど、このままではピンチだ。
「忍び足」で気付かれることなく緊急接近し、真正面から再度パリイ。砕け散る剣、勇壮な背。
ノール(たとえ…たとえ冒険譚の主人公になれなくても。目の前で怯える少女くらいは守りたい!)
この生き様。心の強さ。父から教わった冒険者の心意気。怯むことのない勇気。THE主人公。お前最高の主人公だよ!!!!
破壊され、柄しかないほど短くなった剣を構えて再度、パリイ!!!
両手で握りしめた上段の構えからの斧一撃に、両手で握りしめたパリイで迎え撃つ! そのパリイの威力に、力には絶対の自信があっただろうミノタウロスが、耐え切れずに手を放してしまう。吹き飛ぶ斧は回転と共に天井へと舞い上がった、ミノタウロスの首を通過して。
完全破壊
初戦闘が完全に戦闘モードに入ったミノタウロス。柄だけ残った剣は撃破後、尋常ではない握力で粉々になった。
この姫様から見て、ノールは常軌を逸した戦闘能力を持った超人。しかもパリイしか使わずに勝つという限界ゲームプレイヤーしかやらんであろう縛りプレイで、見事生き残り姫を守りおおせた理外の存在だ。
そんな凄い人の名前を聞きたくなるのは当然だし、何なら城に招いて感謝の言葉とか勲章を与える事に何の違和感もない偉業である。
しかし、これが初の魔物との戦いで
「牛一頭に苦戦するようではまだまだ…」などと意味不明な事をのたまう。何、街中の牛ってそんなに強いの!? 先ずは図書館に行こう! お前が倒したのそこらのA級で固めたパーティでも苦戦必至の化け物だぞ!!
ネタみたいなタイトルだから軽く見ようと思っていたのにこれは想定外の面白さだった。このアニメ、今期の中でも指折りの面白さだと思います!
Q パリイって受け流すって意味では?
A スキルレベルが上がって弾き飛ばすになったんだと思う(適当)
サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。