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ボローニャ復元映画祭、1週間前

来週末から出かけるボローニャ復元映画祭(到着するのは23日、日曜)、予約した作品を自分用にまとめる。なにしろ会期中に400本以上の映画が上映されるので、並べてみると「たったこれだけか……」となってしまうのだが、毎日映画を観るか、トークセッションで映画関係者の話を聞くかのどちらかを繰り返すわけで、後半になってくると持久戦の様相を呈してくることは間違いない。

アベル・ガンスの『ナポレオン』パート1(3時間40分……長ぇよ!)から始まるのはどうなのか。しかし、その晩は『パリ、テキサス』の4K修復版である(ヴェンダースも登壇する……翌朝の小津『生まれてはみたけれど…』にも)。

その『パリ、テキ』があり、僕が11歳の時に映画に開眼した作品と言える『ジョーズ』のビンテージ・プリント(公開当時のプリントをテクニカラー社が保存していたもの)があり。『望郷』は亡くなった母が好きだったので(その話をする時は必ず「ペペ・ル・モコ」と、原題というか、ジャン・ギャバンが演じた主人公の名前を呼んだ)。たまたまだけど、まもなく還暦を迎える自分の映画史を振り返ることの出来るラインナップになった。

ヴェンダースの他にもコスタ=ガヴラス(91歳!)とか、ロジャー・スポティスウッドとか(彼はサム・ペキンパーの編集者だったので、『ビリー・ザ・キッド 21歳の生涯』の修復版に、その修復に携わった米クライテリオンのリー・クラインと一緒に登壇する。リーさんと会うのも2年ぶりだ!)、日本で公開中?の『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリデイ』のアレクサンダー・ペインとか、僕は好きじゃないけどディミアン・チャゼルとか、世界中から映画監督たちも来る。

『七人の侍』を野外の大スクリーン(横幅 25mくらい……もっとも『七人の侍』はスタンダードサイズだから、使うのはその半分くらいか)で観られるのも胸が躍る。マッジョーレ広場に並べられた席は2000だが(前回行った時に数えた)、人気作はその周りの石段とかにまで人が座り込み、5000人、6000人にまで膨れ上がる。6000人の侍である。最終日は同じスクリーンで、今年の映画祭のポスターにもなっている『シェルブールの雨傘』の4K修復版と洒落込もう。

『北北西に進路を取れ』が網掛けになっているのは、これがあてがわれている劇場が、その日に大広場でやる別作品が雨だった場合、それに取られてしまうからである。これは35mmフィルムを横方向に走らせて、通常の2コマ分を1コマとして使うビスタビジョンの作品で、今回の修復版はその1コマを13Kでスキャンし、6.5Kで修復し(=ゴミや傷を消し)、さらにそれをもう一度70mmフィルムに焼くという、気の狂ったようなものである。僕がボローニャに到着する前に一度野外上映があるのだが(同じ方式で撮影され、修復されたジョン・フォードの『捜索者』も)、なんで会期の始まる前にやるんだよ!と怒り心頭である。なんとか27日は晴れてくれ! なにしろ70mmプリントは、日本ではもう東京・京橋の国立映画アーカイブでしか観られないからね。

日本では7月に公開される新作『墓泥棒と失われた女神』(大傑作!)のアリーチェ・ロルヴァケル(上の写真の彼女です)もいくつかの上映に登壇するし、その映画に絡めたインスタレーションも展示されるということでこれも楽しみ。彼女とは2年前にもボローニャで会ったけど、つい最近、この映画祭の主催でもあるボローニャのフィルム・アーカイブの理事にも就任したのだ。

まあ、とにかく楽しみです。しかし出発の日の昼間には、やはり映画関係の、とあるシンポジウムで一コマ、モデレーターをやるので、なかなか大変なのだ。有料イベントですが、こちらもよかったらぜひ! オンラインもあります。この会場からスーツケースをゴロゴロ引いて、羽田空港に向かいます。


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