石丸フィーバーについて思うこと

 東京都知事選の選挙特番から注目を浴びて石丸フィーバーとか石丸現象などと呼ばれる、言い方が変かもしれないがちょっとしたブームになった気がした。私にとっては2ちゃんねる創設者のひろゆきがブームになった時と同じ感覚だ。

 石丸伸二氏について書くと石丸信者から文句を言われそうな気がして、このテーマについて書こうか迷ったが石丸伸二氏がけっこう好きだったからこそ、もやもやする部分もあったので書いてみることにする。

 私が石丸伸二氏を知ったのは東京都知事選の前で安芸高田市長時代の議会の切り抜き動画である。その時の感覚としては、半沢直樹を彷彿させるような議会に対して戦う感じで1つのエンターテイメントとして見ていた。
 もちろん東京都と安芸高田市の人は過去に直接投票できたからエンターテインメントと言ったら怒られるかもしれないが、日本の約9割の人たちにとっては選ぶ権利すらないし、東京都知事は大きな影響力があるのは分かるが、地方自治の1つと考えると大きな関りがない私にとっては様々なメディアを通すことによって東京都知事選挙も1つのエンターテイメントになってしまう。

 石丸伸二氏の選挙戦略として大きく目立ったのやはりSNS戦略だと思う。ここまでインターネットを使った選挙戦略は今まであまり見なかった気がする。テレビよりもインターネットを使用している比較的若い世代の人たちにとっては馴染みがあり、流石だと感じた。その結果としてインターネット中心の世代の投票獲得率が上がったのは分かる。

 ここまでの戦略は流石だなって正直思っていたが、テレビでも石丸伸二氏のカッコよさを見せてくれると期待しすぎていたのでテレビでの対応を見て幻滅してしまった。

 やはり、今回のテレビの対応で書かないといけないのは古市憲寿氏と山崎怜奈氏とのやりとりだと思う。それぞれ色んな意見があってSNSでも真面目そうな人からふざけた人まで色々な立場の人が色んな事を言っている印象がある。

 とりあえず、批判を恐れずにこの話題の2人について私のやり取りの印象を書いておこうと思う。

 まず、古市憲寿氏についてだが古市憲寿氏については良くも悪くも自分の私見や解釈を交えて質問する印象があり、この質問方式で今回のに限らずプチ炎上しがちの人であるが、冷静に質問を読み解くと実は鋭い質問をしている。今回のやりとりで古市憲寿氏がたぶん聞きたかった事を要約すると、

「あなたがやりたい事で政治屋の一掃がありました。あなたの行動や発言を聞いているとあなた自身が仰っていた政治屋の定義にあなたが当てはまっている気がします。具体的にあなたと政治屋は何が違うんですか?」

となる。この質問は冷静に見ると良い質問だと思う。古市憲寿氏もそこまで馬鹿ではないから石丸伸二氏の抱えている裁判についての情報を持っていた場合、このような質問したくなるのは分かる。ただ古市憲寿氏の方もあまり質問の仕方が上手くなかったこともあり、今回は時間切れになってしまったので、この点について聞けなかったのは残念だ。

 次に山崎怜奈氏とのやりとりについて書いてみよう思う。山崎怜奈氏の方は正直な話をすると、あの石丸伸二氏の立場であればとても答えにくい質問だ。山崎怜奈氏の質問はすごい意地悪な質問で色んな含みがあると感じる。こちらの質問は要約ではなく私なりの解釈で質問内容を書いてみようと思う。

「今回は残念ながら都知事になれませんでした。あなたも含めて他の立候補者にも共通して公約の中に素人考えでは国政レベルではないと出来ないと思ってしまう内容があります。あなたが本気でやりたいと思っていることは東京を変えたいのか日本を変えたいのかどっちですか?」

 この質問の回答で色んな方向性を勘ぐられてしまう可能性があるからとても答えにくいと思う。東京を変えたいと言えば国政には出ないと思われてしまい、国政も考えているのならばマイナスに働く。逆に言えば、国政と言ってしまえば国政にも今後都知事選に出馬しようと思った時にマイナスに働く可能性がある。
 あえて言うのであれば山崎怜奈氏の質問の悪かったところはマニフェストの読み込みが出来ていなかった部分ではなく答えにくい質問をしたことだと感じる。そのあとに宮根誠司氏が答えやすい少し質問の論点をずらした質問に変えたように見えた。このように考えるとサンジャポで太田光氏が改めて聞いても石丸伸二氏がはぐらかして答えなかったのは納得できる。

 これは半分私の妄想に近いものだが、この2人に何となく共通してそうなのがテレビの選挙特番で石丸伸二氏のキャラクター付けをする時に嚙みつけそうな相手がこの2人だった感じがする。テレビを見ていた時の印象であるが質問を聞いている石丸伸二氏の目が質問の内容をくみ取ることよりも揚げ足取りをしようとする目のような印象を受けた。これは私自身が同じような事をするからこそ、そう感じてしまった。そして、この揚げ足取りが「石丸構文」を生んだのだと感じている。

 この「石丸構文」があったからかSNSでは様々な人がいた気がする。石丸信者やアンチ石丸、アンチ古市、石丸構文をおもちゃにする人などなど。さらには有名人なども石丸伸二氏についてポストしたことで、これらの人が絡み合ってちょっとカオスな状態になってしまったのだと思う。
 一番ややこしくしていると感じている部分は、所謂2ちゃんねるのノリをXでやるもんだから、その態勢がない人達がそれに対して真面目に答えてしまっているところだ。
 石丸信者のレベルも様々で、石丸伸二氏や堀江貴文氏が言っているからとそれをエビデンスとして訳の分からない事をポストをしている人や、おもちゃにされた石丸構文に対してマジレスしている人。そして、やはり元アイドルだからか山崎怜奈氏に対してはアンチ的なコメントが多い印象があった。やはりこういうのを見るとネットリテラシーの重要性を改めて感じる。

 そして最後に都知事選後の石丸氏について私が感じていることも私自身の備忘録として書いておこうと思う。

 もともとは好きだった石丸氏だが、都知事選からの活躍をみて逆にそうでもなくなってしまった。私自身がテレビが好きで石丸氏がテレビに対して敵対視を持っているというのは分かるがテレビで見る石丸伸二氏の姿があまりにも滑稽に見えてしまうからである。
 石丸伸二氏がテレビをおちょっくていると言えばそうかもしれないが、私からみたら理念・理想はあるが、具体性がない人だ。テレビでの議論の中でも極論に近い事を発言することで具体性がないような議論になる。政治をする上で理想・理念は必要かもしれない。ただ、その理想・理念に近づけるためには具体性がなければならないと思う。石丸信者からすれば、それはyoutubeなどのSNSを見れば分かるというかもしれないが、現状政治家でもない石丸伸二氏についてはタレントとかインフルエンサーでしかないし、そこまでして知ろうとも思わない。
 そもそも「石丸構文」の意味を考えると、視聴者は質問の内容が分かっていて、その論点を揚げ足を取りマウントを取ることで論点をズラしていると感じているから「石丸構文」とい名前で揶揄していることを考えると面白がっている場合ではない。なぜなら、私からしたらこの「石丸構文」こそ政治屋の常套手段だからだ。

 このように考えると古市憲寿氏の「あなたと政治屋の違いは?」という質問については内容を早めにくみ取って、きちんと回答した方が得策だったのではないかと感じてしまった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?