地方出身、現東京在住大学生の東京論

私は某県の某政令指定都市に生まれ、年長までを郊外アパート、小1-中1までを郊外の一軒家、中2-高3を街中のマンションで過ごし、大学進学を期に東京のアパートに引っ越し現在まで住んでいる。そんな自分の「東京論」を語っていこうと思う。ただし、東京論というより「都会論」になってしまうかもしれない。

田舎VS東京のステレオタイプ的対比

古くから、地方から上京し、田舎と都会について対比したりしたような表現物は多々ある。

吉幾三/おら東京さ行くだ

YUI/TOKYO

きのこ帝国/東京 etc...

そしてこれらの表現物は主に大きく2つの観点からの指摘がなされている。

・地方と東京の施設・環境といったハード面

・地方と東京の文化や雰囲気といったソフト面

これらについて、一般論と実際住んでみての自分個人の感想を述べていく。


ハード面について

東京と地方のハード面の差は歴然としている。

東京の利点として、公共交通機関の発達、商業・娯楽施設の充実、医療・教育水準が高い、求人が多く、最低時給・給与水準が高い、東京でしか行われないイベントの存在等が挙げられる一方で

地方の利点として、土地が安価であること(家賃が安い)、人が密集していないが故のメリット(空気が綺麗、騒音に悩まされにくい)、天然資源が豊富であること(水が綺麗である、農地を確保でき、農業が盛んである)等があるだろう。

「個人的な話としては、せっかく東京に住んでいるのに、買う服はユニクロやGUばかり、御茶ノ水の楽器店街は魅力的だが、ネットで買った方が安いのでだいたいネットで購入、食事もチェーン店を利用することも多く、東京の地の利を生かしているとは言い難い生活を送っている。

良かったこととしては、東京でしかライブを行わないアーティストの公演に行くことができたり、個人的に好きなシンガポール料理の専門店があること(出身県にはない)東京のラーメンの名店に行けたことは良かったとは思っているが、たまに観光に来れば済む話な気もする。

あと、車が子どもの頃が好きなので、地方に住んでいたら自分の車を持っていただろう。東京に住んでいる限り、よほどのお金持ちにならないと自家用車所有は無理だろう。公共交通機関が発達している以上、単なる贅沢品になってしまう。

騒音に関しては、中高時代住んでいたマンションの方が都会にあり車通りも多かったため、今住んでいるアパートの方が静かなくらいである。」

ソフト面について

ソフト面については、県ごとの差よりも、県内での差の方が大きいのではないかと思う。私が小学生時代を過ごした郊外の地域では、町内会や子ども会があり、近隣の住民とも交流があった。しかし中高時代を過ごした市内のマンションや現在住んでいる東京のアパートにはそういったものはなかった。

「私は愛想が良い人間ではないので、近隣の住民に会ったとしても基本的には会釈程度で、自分から積極的に話しかけたりはしない人間である(もちろん話しかけられたら応えるが)マンション時代と今のアパートでは他人とのコミュニケーションの機会はほとんど変わらず、ほぼない。楽である。」

同じく上京した知人の話

 大学進学を期に、自分と同じタイミングで上京した同級生も何人かいた。彼らは水道水が不味いことやスーパーの物価が高いことを指摘する人が多かった。が、自分は元から水道水を飲まない人間なので水はあまり気にならなかった。物価に関しては高校生時代あまりスーパーに行っていなかったので地元の物価を把握していなかった。また外食の方が多いので、チェーン店であれば値段は全国共通なのであまり高いとは感じなかった。

都会は冷たいのか?田舎は温かいのか?

 以上の感想の数々から、私はとりわけ都会のくらしへの不満はほぼないことが分かる。一方でどうしても都会でなければならないというほどでもない。しかし、どちらか選べと言われればやはり都会を選ぶであろう。

 理由は、私は人が多くいる場所に温かみを感じるからである。

よく、都会の人は冷たく、田舎の人は温かいというが、私はそうは思わない。田舎の温かさとは、身内だから、知っているから、つまり味方陣営と認識されているからこそその温かさを享受できるのであって、知らない人に対してはむしろ排他的であろう。つまり縁もゆかりもある田舎は快適だが、縁もゆかりもない田舎はなんのフレンドリーも感じない。(コミュニケーション能力が高い人間なら打ち解けるかもしれないが自分はその自信がないので)都会は、むしろ全ての人に対して平等にドライであり、その方が個人的には安心する。あと、個人的には暗い夜道があまり好きではないので、人がたくさんいて、ライトや繁華街の明かりがついている場所の方により住みたいと思う。もっとも、これは自分の逆張り癖により出てきた感覚に過ぎないかもしれないが。


THURSDAY'S YOUTH/東京

http://j-lyric.net/artist/a05cc31/l043d6c.html

個人的にとても好きなバンド、THURSDAY’S YOUTHのボーカル篠山コウセイさんは、東京出身で、東京が冷たい街と言われることに対して、地元が東京の人間の東京観を表現するためこの曲を書いたという。

東京出身者と交流して

大学に入学し、数多くの東京出身者と交流した。首都圏の私立大学は現在軒並み地方出身者の割合は3割程度に低下しており、1都3県出身者で7割を占める大学が多い。(青山学院大学が最も首都圏出身者の割合が高く、逆に中央大学は地方出身者の割合が4割と高い)

私は、自分の出身県を東京に近いと思っていた。新幹線なら1時間半で行き来できる。北海道や九州に比べれば全然近い、そんなに遠くに住んでいる認識はなかった。しかし、実際話してみると、地方出身者自体が珍しいからなのか、わざわざ遠い所から来られたんですかみたいな対応をされることがちょくちょくあったので、彼らからすればやはり東京に生まれ住み続けるのが当たり前なのだろうという感覚は感じられた。(もちろん全員ではないが)最も、自分ももし東京に生まれていたら他の県にわざわざ住んでみたいとは思わないだろうと思う。

東京は平均年収や学歴においても地方を圧倒している。いわゆる教育社会学で指摘される学歴再生産や文化資本と、東京の地の利は大きく関係してるだろう。その一面を垣間見た気がした。

インターネットと地域格差

吉幾三が描く時代の地域格差に比べて、現代はどうだろうか。テレビもラジオもある(テレビ東京が映らなかったりするが)。マクドナルドや吉野家、セブンイレブンも全国にある。そしてなによりインターネットが普及した。色々なところで言われているが、インターネットの普及は、地域格差をより小さいものにした。自宅でAmazonプライムビデオやYouTubeを鑑賞し、外食チェーンで食事をとり、ユニクロの服や音楽機材をネットで買うような今の生活は、別に東京でなくても全然送れる。たぶん自分は日本のどこでも生きていける気はする。自分の生活や趣味、嗜好が地域性に依存していないようである。

結局、どちらに住みたいか

どちらでも暮らしていける気がするが、結局のところどちらの方が良いのか。個人的には、お金があれば東京、お金がなければ地方の方が快適かなと感じている。収入によると思う。

 一方で、子どもを育てるならなるべく東京の方が良いという感覚がある。東京出身の同世代と関わり、東京で生まれ育つことのアドバンテージや効率性を感じたからだ。環境や、周りの人々、アクセスの容易な文化資本、東京で育った方がより効率的に「良いルート」に乗れそうな気はした。(これは学力の話で、スポーツさせるなら広い田舎の方が良いのだろうか、分からない)とりあえず、これが現状の自分の東京ー地方認識である。これから、どこに就職するかで人生設計は大きく変わるだろう、この先どうなるかはまだ分からない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?