PDCAというマネジメント手法 【なぜ今社会的インパクト・マネジメントなのか?シリーズ①】

「なぜ今、社会的インパクト・マネジメントが注目されているのか?」

ということを、自分なりに言語化したく、noteに気ままに書いていきます。

その時の勢いで書くので、認識に間違いや記載ミスがあるかも知れませんが、おいおい直していきます(たぶん)。

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社会的インパクト・マネジメントを実践する際に、PDCAをぐるぐる回す、ということを基本にしています。
「PDCAはよく使うフレームワークだけれど、奥行きも深いよね」ということを伝えたくて、このnoteを書きました。

■PDCAとは

PDCAという手法は、1970年代に生まれ、主に日本で広まったマネジメント手法である。

Plan(計画)
Do(実行)
Check(チェック)
Action(反映)

という4つのプロセスを回すことで、事業を運営していくフレームワークである。ビジネスセクターであれば基本のキとして何度も耳にする。

Plan(計画)-Do(実行)-See(振り返り)という3つで言われることもあるが、似た概念である。

「当たり前」というくらいに広まっており、聞き飽きた方もいるかも知れないが、基本のキと言われるだけあって、私はとても重要な考え方だと思っている。PDCAが徹底できれば本当に強い。はっきり言えば現在のビジネスでPDCAがきちんと回っていることが少ないと思っている。これさえできれば、勝てるかは分からないが、思いがけない失敗や大負けすることはない。そしてPDCAを越えるフレームワークは数えるほどしなかいと思っている(思いつかないと言っても良い)。

PDCAを基盤に、いくつか重要な考え方が派生していると思うので、まずはそれについて述べたい。

■PDCAの「守」

守破離の「守」を、一番基本となるPDCAのシングルループに置く。

PDCAサイクルとは、企業が行う一連の活動を、それぞれPlan-Do-Check-Action(PDCA)という観点から管理するフレームワーク。

①Plan:まず目標を設定し、それを具体的な行動計画に落とし込む。
②Do:組織構造と役割を決めて人員を配置し、組織構成員の動機づけを図りながら、具体的な行動を指揮・命令する。
③Check:途中で成果を測定・評価する。
④Action:必要に応じて修正を加える。

一連のサイクルが終わったら、反省点を踏まえて再計画へのプロセスへ入り、次期も新たなPDCAサイクルを進める。

引用:グロービス MBA用語集より

こうして、PDCAサイクルを何度も回していくことが、活動の基本のキ、PDCAの「守」である。

■PDCAの「破」

その次の「破」として、以下3つがある。

1,PDCAを高速で何度も回す

「PDCAを何度も回す」という観点では「守」と同じだが、これを高速で回す。短時間で何度も回す。
とてもシンプルだが、とてつもなくパワフル。

戦略コンサルティング業界の特徴や強みは多々あるけれど、話しを聞く中で「なるほど!」と感じたことの一つが、精度の高いPDCAを圧倒的ボリュームで回し続けるスタンスだった。頭の切れる集団が、現状を把握し、データを分析し、仮説を立て、検証するというPDCAを、短時間で高速に何度も回す。1つのPDCAの質の高さもさることながら、何度もPDCAを回すことで、精度の高い、当たりの確度の高い戦略が生み出される。優れた戦略をスマートな頭脳から生み出しているのでなく、現場の若手が魑魅魍魎のような情報の中からひたすらPDCAを回して原石を見つけ出す。それを高速で磨き続けるから、優れた戦略になる。

2,リーン

2012年に日本で「リーン・スタートアップ」という書籍が発売され、注目された。リーン(無駄をなくす)起業法として注目された。プロトタイピングを作りながら、事業の早い段階でピボットしながら顧客のインサイトを探り、提供価値を見定めていく手法である。

リーン・スタートアップは具体的には、「構築―計測―学習」のフィードバックループを通して、まず要となる仮説に基づいて実用最小限の製品(MVP)をすぐに作って、実際に顧客に使ってもらった実験結果から、成長につながる価値を学ぶ(検証による学び)という工程をくり返します。
その中で、仮説に対して結果が違ったら、そのまま進むか、あるいは方向転換(ピボット)するかを選びます。

引用:Amazonサイトより

私なりの理解で簡単に行ってしまえば(要約し過ぎて失礼します!)、これも、事業の初期の段階でPDCAを高速で回す、ということ。

異なる点があるとすれば、結果をユーザに当て、レスポンスを得ていること。このレスポンス、つまりユーザからのフィードバックを得て、さらに改善を図り、一つのプロダクトのブラシュアップを図っていく。ユーザのインサイトを探り、提供価値を推しはかる上で、初期の段階からユーザのレスポンスを得ることが、プロセスの無駄をなくす。

ユーザが想定されているような対人のモノ・サービスであれば、非常に有効な事業開発の手法となる。

3,シングルループとダブルループ

PDCAには、シングルループとダブルループがある。もともとは、組織開発の「ダブルループ学習」を応用した考え方である。

シングルループであるPDCAは、目の前の事業に対して、PDCAを回して事業改善を図っていくこと。ダブルループのPDCAは、その事業の外部環境をチェックし、前提を疑い、枠組みそのものから見直しをかけていくこと。

シングルループだけを見ていると、その事業は改善されて良くなっていくが、外部環境が変化した際にも気づかずに、狭い視野で事業のPDCAを回し続けてしまうことがある。時代の変化やフェーズの違い、有効な戦略の条件が変わった際に気付けない可能性がある。もちろんシングルループを回し続けることは重要だけれども、定期的に、一歩引いた目線でその事業を取り巻く外部環境や条件を眺め直し、必要に応じてダブルループを回す。

ダブルループは、そもそもの目的、外部環境、ユーザや対象者のニーズ変化、競合の状況、全体的な戦略の有効性を見ていく。そもそもその事業が必要なのか?を問うていく。それらの前提がどういう状況であるかを確認し、今の事業が適切であるかを判断していく。必要に応じて、その事業の戦術に反映させ、シングルループのPDCAへ入れ込んでいく。

シングルループとダブルループというレベル感の違うPDCAを並行して回すことで、より多角的に事業を改善していくことができる。

参考:https://www.jscore.co.jp/column/lifestyle/2018/double-loop/

■PDCAの「離」

では、守破離の「離」は何か?
1つだけ挙げておきます。

1,OODAループ

OODAループとは、Observe(観察)、Orient(状況判断、方向づけ)、Decide(意思決定)、Act(行動)の4つの行動の頭文字をとったもの。

VUCAと言われる複雑性の高い時代に、先のことを見通すことは難しい。計画(Plan)ではなく、状況を観察し、判断し、意思決定し、行動することで、変化の激しい時代に対応していくことを目指したフレームワークである。

よく「PDCAは古い。これからはOODA」と言われることもあるが、単純・煩雑な環境下の事業にはPDCA、複雑性の高い環境下の事業にはOODA。事業だけでなく状況によって使い分けることが良いと思う。
その点で、OODAは、PDCAという基本の概念をベースに発展させたものであり、PDCAを複雑系に対応させた手法と捉え、PDCAの「離」と位置付けたい。

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マネジメント手法は時代によっていくつも開発され、活用されている。毎年のように流行りのフレームワークが登場し、活用されたり、活用に失敗したり、試行錯誤をしながら前進している。

その中でも核となる、汎用性やパワフルさが際立って高いフレームワークがあるように感じる。

PDCAはその一つなので、取り上げてみました。

社会的インパクトを上手くマネジメントしながら生み出していく過程で、PDCAの概念は非常に役立つ。

PDCAの「守」だけでなく、「破」と「離」も意識すると、一気に現場での活用の可能性が高まると感じている。

「なぜ今、社会的インパクト・マネジメントが注目されているのか?」という問いに対しては、「マネジメント手法として汎用性の高いPDCAを、ソーシャルセクターにおいてもっと活用していくことが、社会的インパクトを生み出すことにつながる。PDCAを「守」だけでなく幅広く活用するのがポイント」という返答をしたいと思う。

以上

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