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フレームワークの魅力を、ソーシャル分野でも活かす 【なぜ今社会的インパクト・マネジメントなのか?シリーズ②】

「なぜ今、社会的インパクト・マネジメントが注目されているのか?」

ということを、自分なりに言語化したく、noteに気ままに書いていきます。

その時の勢いで書くので、認識に間違いや記載ミスがあるかも知れませんが、おいおい直していきます(たぶん)。

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社会的インパクト・マネジメントでは、ソーシャル分野でよく使用するフレームワークを提示しています。
そこで今回のnoteでは、「フレームワーク」というものの魅力について語ります!

フレームワーク(枠組み)とは何か?

「フレームワーク」という言葉を知っていると思います。
ビジネスではよく使われます。実際にフレームワークを使いながら仕事をしている方も、少なくないと思います。

フレームワークとは
汎用的に用いられるMECEの切り口。3Cや4P、ビジネス・システムなどがある。
フレームワークを理解し、考えるチェックリストとして利用できれば、大きな視点を見失わず、見落としを防ぎながら、効率よく分析や解決策の立案を行える。また、有名なフレームワークを使えば、コミュニケーションの際にも説明が省けるというメリットがある。 一方で、フレームワークで考えることのデメリットもある。1つ目は、なまじフレームワークを知っているために、そこで思考が停止してしまい、掘り下げが浅くなってしまいがちになるということ。2つ目は、分析そのものが目的化してしまい、意味のない分析に時間を費やしてしまうことである。 いずれにせよフレームワークは、現実のアクションに結びついて初めて意味を持つという点を認識する必要がある。

引用:グロービス MBA用語集

フレームワークは、非常に便利なツールです。
ある事象を、ほどよく分割してMECEに説明したい時に、その分割する軸をサンプルとして提示してくれています。その枠に当てはめて考えれば、的確にカテゴリに分けて思考を整理できます。

※MECE:漏れなくダブりなく。Mutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの略。その事象を因数分解して分析する際に、重複なく、抜け漏れなく整理できている状態を示す。

例えば「マーケティングのAIDMA」という消費者の購買決定プロセスを示したフレームワークがあります。
消費者はまず、その製品の存在を知り(Attention)、興味をもち(Interest )、欲しいと思うようになり(Desire)、記憶して(Memory)、最終的に購買行動に至る(Action)という購買決定プロセスを経ます。

「消費者が購入する」というプロセスを「認知→欲求→行動」と分解することで、より詳細に消費者の動向を見極めることができます。こういった視点で消費者の動線を見ていくと、現状の把握に役立ち、どのような施策が必要なのかが整理されやすくなり便利です。重要な項目を落とさないためのチェックリストとしても機能します。

会議などで、「新商品をAIDMAで整理して、次のマーケティング施策を検討しよう」と誰かが言えば、みんながその趣旨を理解し、ホワイトボード上にフロー図を描き始めることができます。みんながAIDMAというフレームワークを知っているからこそ、このようなコミュニケーションが可能となります。

フレームワークは、大きく物事を理解し、整理して把握したい時には非常に役立ちます。抽象化されているので汎用性があり、いくつもの事象にフレームワークを当てはめて考えることで、比較も容易になります。例えば、商品Aと商品BのAIDMAを描くことで、商品特性に沿ってそれぞれのマーケティング戦略が練られていることが浮き彫りになります。

適切なフレームワークを選ぶ必要性

AIDMA以外にも、マーケティングにはいくつかの有名なフレームワークがあります。

●PEST:外部環境の分析を行う。政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4項目の観点で見ていく。

●3C:フラットに市場を見る。Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(他社)の3視点から現状を分析する。

●STP:顧客を分析し、ニーズを掴んでいく。Segmentation(セグメンテーション)→Targeting(ターゲティング)→Positioning(ポジショニング)というステップで考えていく。

●4P:具体的な販売手法を検討する。商品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販促(Promotion)の視点でマーケティングを立案する。

それぞれのフレームワークによって、分析できる内容が異なります。フレームワークを活用する際には、何を明らかにしたいのかを整理してから、適切なフレームワークを選ぶことが肝要です。フレームワークによって分析することが目的となってしまわないように、分析によって何を明らかにしたいのか、を明確にしてから、作業を開始します。

また、フレームワークによる分析で、目的のものが手に入るとは限りません。フレームワークはあくまでも枠組みで、ざっくりとした整理を手助けしてくれるツールにすぎません。分析の目的が果たせたのかどうかを確認しつつ、フレームワークが適切でなければ、他のフレームワークを試す、自ら適切なフレームワークを設定する、などの工夫をしていきます。

経営とMBAとフレームワーク

経営学という学問領域では、19世紀末頃から、経営にまつわる方法論や手法を体系立ててきました。その修士課程をMBA(Master of Business Administration)と呼びます。

1970年代にアメリカ経済が停滞した際に、経営学の需要が増し、同時に経営コンサルティング業界への期待が高まりました。様々なフレームワークが開発され、ビジネスの現場で活用され、そのフィードバックにより経営学が発展してきました。

数多くのビジネスのトライアルを分析することで、共通項を見つけ出し、項目として整理し、汎用性の高いフレームワークを生み出してきました。それらが今日でもビジネスの現場で活用され、また時代や事業環境に合わせて次々と新しいフレームワークが生み出されています。

MBAではフレームワークを複数学びます。フレームワークを上手く活用することで、短時間で物事を整理し、分析することが可能になるためにです。そして徐々に、自らフレームワークを生み出すスキルを高めていきます。

ソーシャル分野におけるフレームワークの発展

アメリカにて、ビジネスにおける経営学の進展と時を同じくして1970年代頃から、USAID(アメリカ合衆国国際開発庁)を中心にログフレームというマトリックスによって事業を整理することが広まってきました。

日本のODAや国際協力の分野にも取り入れられ、現在はPDM(Project Design Matrix)と呼ばれるフレームワークになっています。
また、PDMを中核に置いた事業のマネジメント手法を、PCM(Project Cycle Management)として整理し、事業を円滑に運営し、コミュニケーションを図っていく共通のマネジメント手法として活用されています。

日本では、2015年頃から、ロジックモデルという呼び名のフレームワークが多用されるようになりました。ロジック(論理)のモデル(形式にしたもの)は全てロジックモデルと表現され、「ある施策がその目的を達成するに至るまでの論理的な因果関係を明示したもの」「事業や組織が最終的に目指す姿の実現に向けた道筋を体系的に図示化したもの」などと説明されます。

現在の日本では、概ねこのようなフレームワークを指すことが多いです。
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引用:SIMIのサイトより

ただし、論理的な因果関係を示したものは、全てロジックモデルに該当するとも言えるため、このフレームワーク以外でもロジックモデルと呼ばれます。

このフレームワークによって、ヒト・モノ・カネを調達し、活動を実施することで、モノ・サービスを提供し、変化・効果を狙っていることを、図示することができます。「なぜこの活動をするのか?それは、この変化を生み出したいからだ」ということが、ロジックモデルによって掴みやすくなります。

ソーシャル分野ではその他にもいくつかのフレームワークが開発され、目的を様々としながら使われています。

●Badサイクル-Goodサイクル:社会課題の構造的要因を明らかにし、そのどこにアプローチすることで、理想の状態となることを描くもの。

●ステークホルダーマップ:事業や対象者の多様な関係者をマッピングし、可視化したもの。

●セオリーオブチェンジ:ある特定の文脈において、どうやって、なぜ、望まれる変化が起こることが期待されるかについての包括的な説明を図示したもの。セオリーオブチェンジと呼ばれるフレームワークは複数あり、PDMやロジックモデルと似た目的を持つ。

フレームワークの魅力と気を付けるポイント

社会的インパクト・マネジメントにおいては、事業の構築・運営・改善を図っていくために、非常に重要なフレームワークを複数用いて、使い方を示しています。

フレームワークを活用することで、抜け漏れなく現状を把握し、的確に分析し、事業構築に役立ててもらうためです。

ソーシャル分野の事業は、ヒト・モノ・カネといったリソースを投入することで、社会的インパクトを生み出す事業領域です。生み出した社会的インパクトは、貨幣のように単純な数字で表現されるものではなく、また事業の持つ価値を貨幣で表すことには適さないことが多くあります。そのため、どのような社会的インパクト/価値を生んでいるのか、丁寧なコミュニケーションが必要となっています。フレームワークの活用によって、共通の言語を用いてコミュニケーションを図ることが、求められています。


フレームワークを活用することによって、以下のメリットがあります。

●複雑な事象を、漏れなく、ダブりなく、容易に整理・分析できる

●目的・価値を見失うことなく、手段・活動を位置付けられる

●共通の言葉と枠組みを使うことで、ステークホルダーとのコミュニケーションが円滑になる


一方で、デメリットとしては、以下が考えられます。

●適切でないフレームワークによって、事業の持つ価値を見誤る可能性がある

●共通のフレームワークによって、他の事業と比較可能なように錯覚してしまう

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デメリットはあるものの、フレームワークを適切に活用すれば、ソーシャル分野に参加したばかりの方でも、押さえるべきポイントを掴むことができます。

みんなで同じフレームワークを見ながら話をすることで、目線を合わせてコミュニケーションすることができます。

社会的インパクト・マネジメントでは、現場で使えるフレームワークをご紹介しています。現場の方々が良い形でフレームワークを活用し、事業をより円滑に進められることに貢献していきます!

それによって、社会的課題の解決が進み、一日でも早く困難な状況に置かれた人が、より良い生活を享受すること願っています。

以上

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