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ブロモ山のホットワイン

あらかじめのお詫びです。
今日のnoteはメモ的になってしまうかも。
読んでもらえる文章にするには、丁寧な推敲が必要ですが、
今書いておかないと逃げてしまいそうな記憶なので勢いで書いてしまいます。

    ※      ※      ※

 もう20年も前のこと。
 当時、東京で編集の仕事をしていた。
 インドネシアに行くために退職し、1ヶ月以上現地にいた時期があった。

 オランウータンの幼児の密輸事件が大阪であって、ペット業者が検挙された。その取材中に知ったのがインドネシアのカリマンタン島にあるオランウータンリハビリテーションセンターだった。

 野生のオランウータンの仔を捕獲して、ペットとして富裕層に売ることが生息地のインドネシアやマレーシアで横行していた。オランウータンはワシントン条約で取引が禁止されている絶滅危惧種だが、かなりの高額で売れるため、密猟に歯止めが効いていない状態だった。
 オランウータンの仔どもは、親を殺傷しなければ手に入らない。母親の胸にしがみついたまま森の中を移動する野生の生き物だからだ。
 人類学者のビルーテ・ガルディカスは、そうして捕獲されペットとして売られた仔を保護して、野生に返す活動をしていた。彼女の運営しているセンターを訪ねようと成田からインドネシア行きの飛行機に乗り、ジャカルタでプロペラ機に乗り換え、カリマンタン島(ボルネオ島)に向かった。

 20席程度の小型飛行機の窓から見える地上は、蛇行して光る川に沿ってブロッコリーのような森だけが一面に広がる、見たことのない世界だった。

 オランウータンリハビリテーションセンターのことはまた改めて書くとして、今日書き止めなければと思ったのは、日本に帰る前に立ち寄ったブロモ山で飲んだホットワインのことだ。

 ブロモ山はジャワ島にある活火山で、月面のような火口周辺が名所になっていて世界各地からバックパッカーが訪れる山。バスに乗って中腹のロッジを目指した。山小屋に着いたのは深夜だった。チェックインしたのち、一杯のホットワインが振舞われた。

 その時のホットワインが、とびきりの美味しさだった。
 赤道直下の熱帯とは思えないほど寒く、かじかんだ両手をマグカップで温めながらすすった赤ワインの甘さ。香辛料の匂い。異国の香り。
 一息ついてから、ロバに乗り、ガイドと一緒に暗い山道を登っていった。
 月明かりの中だった。急に平地になる高台に出たかと思うと、砂漠のような光景が広がっていて、その先に火山の火口があるらしかった。

 まとまらないな。

 とにかく、ホットワインの思い出が蘇ってきた今、まだ4時なのに外はもう暗く寒そうだ。明日からまた仕事。インドネシアを思い出したら、日常が遠くなってしまった。

 さっき、インターネットから今日夜7時からのアーユルベーダ&ヨガのレッスンを申し込んでしまった。何を血迷ったのだろう。初めての教室。なんだかすごくホットワインが飲みたい。

 月の砂漠の先にある火口を覗き込むには、酔わないと。そうでないと一歩も進めない気がしている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ブロモ山

photo20191223 カルディのホットワインを買ったら付いてきたクリスマスマグカップ/リハビリセンターに一時保護され野生に帰った仔が成獣になり自分の仔を連れて再び帰ってきた際の写真(彼女の名前を忘れてしまった。とても誇らしげに仔を私に見せてくれたのを覚えている)

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