【with wedding vol.16】CVRから検証を繰り返すのがネット広告の要諦

※株式会社リクシィ代表安藤が寄稿したウェデングジャーナル
連載号:2018年10月号 第90号 の内容を転載しております。

前回、「選んではいけないインターネット広告代理店7つのポイント」というテーマで寄稿をさせていただきました。インターネット広告代理店をうまく活用できていない事例が多いので、ぜひ気を付けていただきたいのですが、今回は、そもそもインターネット広告をどう考えるべきなのか、2部構成でお伝えしたいと思います。

インターネット広告でどの程度の来館数を期待して良いのか?

式場経営者の皆さまには、ここが最も興味のあるところだと思います。インターネット広告でゼクシィ並みの来館数を獲得するとなると非常に難しいと言わざるを得ません。ですが、一定のマーケットがあれば、月に5~10来館を狙うことは十分可能です。

現状、その数字になっていないならば、見直す余地があるでしょう。ハマった場合はもっと増やせるでしょうし、その場合は優秀な状態と言えます。インターネットでは、1バンケも多バンケも関係ありませんし、情報誌を頼らなくても自力で集客ができます。都市部・地方も効果はあまり違いが無いように見受けられます。まだまだやり込めていない結婚式場がほとんどのように見受けられ、効果的に運用できればアップサイドを期待できる分野だと思います。

ネット広告のレポートで大事なのは、クリック率?流入数?答えはCVR、一択。

ネット広告代理店にお願いすると、広告のレポートを提出してもらえますが、何を見たら良いかわからないという方が多いと思います。様々な考察をレポートに沿えてくれることもあると思いますが、とにかく、CVRだけを見ましょう。

CVRとは問合せ率のことです(CVR=conversion rate)。「流入数」×「CVR(問合せ率)」=「来店数」という計算式になります。「流入が3000で、CVRが0.3%だと、来店数は9組」という計算です。
*あまりネット用語は使わないようにしたいのですが、コンバージョンは基礎用語なので、これだけは覚えておいていただけたらと思います。

その広告をクリックしたユーザーが何パーセント、問合せに至ったのかを見る。これがブライダルのネット広告においては、何よりも大事です。CVRが0%の場合、クリック率が高かろうが低かろうが関係なくなります。むしろクリック率が高くてCVしない場合は、コスト高になっている可能性もあります。CVが発生していないのに、「クリック率が良いですね!効果が出ています!」とレポートしてくる担当者がいたら、何もわかっていないと判断して良いと思います。

一方、流入数が同じでも、CVRが倍になると、来店が2倍になります。目安は0.3%(form3%、form⇒CV10%)とすると良いでしょう。もちろん相性の良いキーワードや媒体だと2%、5%など、高くなることもあります。CVRさえ高くなれば、広告の出稿を増やしていくことで、計画的にCVを増やすことが可能になります。まずは、CVR。これを理解することから全てが始まります。

CVRから検証を繰り返す

どの流入経路から、CVが発生したかを徹底的に注視します。その広告でCVする可能性を0.3%とすると、333clickでCVが1発生するという計算になります。333click、または666clickを獲得するまでは、様子を見るのが良いでしょう。ただ、1ヵ月で100clickだったということもありますので、1つのキーワードを検証するのに、3~6ヵ月程度の期間が必要になります。これだと時間がかかりすぎるという話になるので、その場合は中間CVという考え方で、form到達者の数やフェア予約申し込み画面到達者の数をカウントします。この数字が低ければ脈は無いと考える方が良いでしょうし、逆であれば期待をして良いと言えます。

「ネット広告」と大括りにするのではなく、広告ごとに細かく検証する

「昔、インターネット広告をやったけどあまり効果がなかったんだよね」という声も聞かれますが、「十分な量を投下したのか」「どんな広告を出稿していたのか」を全く見ていないという方も少なくありません。リスティングであればキーワードごとに見ていく必要がありますし、SNS広告ならオーディエンスとクリエイティブの組合せごとに見ていく必要があります。例えば、「無意味なキーワードで高いクリック単価で20万円消化してしまった」という感じであれば、効果が出るわけがありません。その取り組みの中で、可能性のある広告だけを残し、そうでない広告を辞めることで、精度を高めていく。そのような活動が、ネット広告による集客を成功させるために必要となるアプローチです。

どうやってデータを見るのか?

見るべき画面は2つです。
・google analytics
・各広告の管理画面

これらの画面から、「流入チャネルごとor広告ごと」に「流入数、フォーム到達率、CVR」を週次で見ていきます(ちなみにリクシィではそれ専用のレポートを作成しています)。
この管理画面の見方やそこからサイトの改善のお話も紹介できればと思いつつも、
誌面のスペースの関係から次回に紹介をさせていただきたいと思います。

おわりに

インターネット広告に限らない話ですが、経営においては、広告費をどうとらえているかが非常に重要です。成約がなければ売上も利益が無いわけですが、成約のためには来館、問合せが必要です。「広告費を支払って、来館を仕入れている」という表現が実情に近いと思われます。どのエリアも会場が増えすぎました。広告の競争は益々加速していくでしょう。その中で、いかに計算できる顧客獲得手段をつくりだせるかが会場経営において最も重要なポイントになるでしょう。残念ながら、広告はやってみなければわかりません。エリアによって競争環境は異なりますし、インターネット広告自体も日々進化していくので正解が変わります。正解を知ろうとするよりも、正解にたどりつけるスキルを身につける方が重要と言えるでしょう。実際、リクシィのクライアントでも一定投資を行い、試行錯誤を繰り返している企業の方が来館を獲得できています。
「極論、多少広告費をかけすぎたけれども、粗利でトントンだから良い」というくらいの割り切りが功を奏しているケースもあり、新たなデータを得て、次の施策を見出せることもあります。ここへの取り組みを、いまできるかどうかで、未来が変わってくるでしょう。財政が困窮してからでは取り組みにくい領域だと思います。

一方、「結婚式場の勝ち負けが、広告で決まるのは本質的ではない」という気持ちも常にもっています。やはりクオリティやサービス内容で結婚式場が選ばれる構造にしなければならないと強く思っています。リクシィとしてそのようなエコシステムづくりにも取り組んでいきながら、良い結婚式を提供している会場が集客でつまずかないようサポートできればと考えています。

安藤 正樹 - Masaki Ando
株式会社リクシィ代表

花嫁の不安を“トキハナツ”式場探し「トキハナ」を提供するウエディングプラットフォーム事業、ブライダル企業の事業をサポートするブライダルコンサルティング事業、ブライダル特化の人材紹介サービス「リクシィキャリア」などを提供するブライダルビジネスサポート事業を柱に展開。
ブライダル業界の構造改革、結婚式であふれた世界を創ることを目指しています。

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