【with wedding vol.15】こんなインターネット代理店には要注意

※株式会社リクシィ代表安藤が寄稿したウェデングジャーナル
連載号:2018年9月号 第89号 の内容を転載しております。

今回は、「選んではいけないインターネット広告代理店7つのポイント」というテーマです。

当社でのコンサルティングで最も多い引合いの1つが、インターネットマーケティング。背景にあるのは、既存媒体の効果減です。媒体の活用をどれだけがんばっても、費用対効果が悪化していくことから、独自の集客経路を開拓したいと考えると、やはりインターネットによる集客に取り組むことになります。ただ、インターネット広告代理店に依頼をしている会社がほとんどで、当社に相談がやってきます。内容は、「レポートもあがってくるが、その内容が正しいかよくわからない。いまいち成果もあがっていない。」というものです。当社では、どこに伸びしろがあるのか、何をすべきでないのか、広告側よりもサイト側を改善するべきではないか、などの観点でアドバイスと企画案、レポートの作成提出をさせていただくわけですが、インターネット広告代理店の運用レベルが低いと、せっかく企画案を練っても実行ができず、そもそもの企画案に必要なデータを得ることもままなりません。ウエディング業界の場合、インターネットに詳しい事業主が少ないせいか、我々から見ると考えられない低いレベルで広告代理店が散見され、この産業が蝕まれているという危機感から、この記事を書かせていただくことにしました。

今回は、「選んではいけないインターネット広告代理店」、チェックポイント7選です。

①1クリック1000円を平気な顔で報告してくる

結婚式場の場合、インターネット広告から流入してきたユーザー(お客様)が来店予約する確率(コンバージョン率)を約0.3%と我々は見ています。1クリックの値段が300円だったら、1CVで10万円となり、多くの結婚式場の合格ラインと言えるでしょう。キーワードによっては、1%や3%でコンバージョンするケースもあるので、その場合は、1000円や3000円をかけても良いでしょうし、1CV30万円まで構わないということであれば5000円などでも良い場合もあり得ます。ですが、そのような大きな成果が期待できるかどうか不明な状態のまま、「1クリック1000円でした」というレポートを出してくるような広告代理店は、ウエディングの知識が無さ過ぎるので、明確に観点を伝えるべきでしょう。中には、インスタグラム広告を「駅看板のようなものなので1クリック1000円でも十分価値がある」という説明をされたケースがあるそうですが、何人見ても同じ価格ならばその意味もわからなくはないですが、インスタグラムはクリック率が高いとクリック単価が安くなる性質があるので、クリック単価が低い方が多くの人に見てもらえて良いわけです。「1クリック1000円を平気な顔で報告してくる」広告代理店は即刻退場いただきましょう。

②クリック単価を○○円にしてくれと伝えてもそうしない

ということで、1クリック1000円の広告があると効果がいまいちな場合、「翌月からは333円で運用してください」と伝えるわけですが、当然そうすると、「広告の表示回数が減る」などと言ってきます。こう言われると「お金を出しているのに広告が出なくなるなんてもったいない」と感じる方がいるようですが、表示回数が多くても費用対効果が合わないならそもそも無意味ですし、その広告の表示回数が減るなら、1クリック333円で掲載できる他の広告を掲載すればよいのです。そのような考え方をするのが普通なわけですが、「すみません、333円にはできませんでした。ただ、700円にはなったので、下がったと思います!」と堂々と言ってくるところもあります。そのような広告代理店も即刻退場いただきましょう。

③CV数をごまかしてくる

CV数をごまかすケース。さすがに嘘の数字を報告してきたケースは見たことはありませんが、「来店予約数+フェア予約数」とすべきところに「問合せ数」も加えるとか、「資料請求数」も加えているケースは少なくありません。ウエディングの経験があれば、これらの数字を混ぜる意味は無いことを分かっていると思いますが、ウエディングの経験が豊富にあることをアピールしているにも関わらずそのようなレポートを出している会社もありますので、残念でなりません。CV数、「来店予約数+フェア予約数」で見るか、資料請求も加えるならば「1資料請求は0.2来館」とするなどポイント化すると良いでしょう。これを伝えてもレポートを変えられないような広告代理店も即刻退場いただきましょう。

④レポートにすべての広告のデータを記してくれと伝えてもそうしない

レポートには、「どの広告で」「どんなパフォーマンスが出たのか」が書かれているべきなのですが、「リスティング広告でどのキーワードに出稿しているか全部教えてほしい」「そのキーワードの効果レポートをすべて報告してほしい」と伝えたところ、できないと言われたことがあります。すべての広告レポートを開示しないスタンスとのことなのですが、今までのビジネスの経験で、そんなケースに直面したことがなく言葉を失いました。そのような運用は非常識ですので、そのような広告代理店も即刻退場いただきましょう。

⑤管理画面にアクセスさせてほしいと伝えてもさせてくれない

広告代理店に依頼を出しても、なかなか対応が進まない場合でも、これさえできていれば安心というのが管理画面にアクセスできる状態をつくっておくことです。インターネット広告の運用はほとんどの場合に管理画面が用意されており、広告代理店もそれを用いているケースがほとんどです。レポートや広告の設定など、すべて管理画面で行われるので、ここにアクセスできる環境さえあれば、何も心配がないということになります。が、それを認めない広告代理店も存在します。これも全くあり得ないことで、数多ある広告代理店の中から、そのようなところを選ぶ必要性が無いので、即刻退場いただきましょう。

⑥月中の変更回数や広告出稿の最低金額の制約が厳しすぎる

インターネット広告の良いところは、小まめに運用ができる点です。試してみて変える、やってみて続ける辞めるを決められる、これがインターネット広告の良いところです。もちろん効果があるものは誰でも継続するわけですから、効果が無いものをすぐに変えたり辞めたりできる、これがメリットなのです。が、月中の変更はできない契約になっているとか、1キーワードあたりの最低出稿額が定まった契約をしているケースがあるのです。このような契約があると知った時、私はひどい不平等条約を締結しているものだと憤ってしまいました。自社の契約がそれで縛られている瞬間、インターネット広告での集客はゲームオーバーなので、そのような広告代理店も即刻退場いただきましょう。

⑦「予算消化できないので」という理由で無駄な広告を増やす

月末に差し掛かると、予定している広告費が余ってしまいそうということで、急激にdisplay広告の投資が増えるというケースがあります。これこそまともに運用をしてくれていない証拠になります。予算が余りそうということは、月初・月中でもっとバランスよく予算を投下すべきだったという話であり、それが難しそうならば「まだ出せるので効果的な広告出稿をどのようにすべきか」を提案したり相談したりするべきなのですが、当たり前のような顔をして「予算が余りそうだったのでdisplayに回しました」などというわけです。display広告に効果があれば構いませんが、そのような実績が過去ない場合には、「いやいや・・・」という話を明確にすべきでしょう。いつまでも改善されないようなら、そのような広告代理店も即刻退場いただきましょう。

おわりに

過去の私ならば、もっと情報を知って、自分たちの身は自分たちで守らなければならないと主張していたと思いますが、ここまで運用がひどい広告代理店があることを思い知り、考え方を改めました。ウエディング産業で無駄なお金を使えるならば、ぜひお客様か社員に還元をして頂きたいと私たちは考えます。ぜひ見直しいただければと思います。

さて、インターネット広告代理店のダメな事例について散々指摘をしてきましたが、そもそもインターネット広告はどのように活用すると良いのかが大事ですね。インターネット広告で大量に来館を獲得するとなると難しいものですが、月5~10来館は狙えるものです。ここについては、次回、ご紹介をさせて頂きたいと思います。

安藤 正樹 - Masaki Ando
株式会社リクシィ代表

花嫁の不安を“トキハナツ”式場探し「トキハナ」を提供するウエディングプラットフォーム事業、ブライダル企業の事業をサポートするブライダルコンサルティング事業、ブライダル特化の人材紹介サービス「リクシィキャリア」などを提供するブライダルビジネスサポート事業を柱に展開。
ブライダル業界の構造改革、結婚式であふれた世界を創ることを目指しています。

twitter:
https://twitter.com/antimo
Clubhouse:@antimo0926
note:https://note.mu/masakiando


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?