石留のチェックポイント

石留の良し悪しで使い勝手や見栄えも変わってきます。そのポイントをご紹介します。色々と要素はありますが、素人目にも分かり易いポイントを説明いたします。これは購入時のチェックポイントになりますが、彫金をされている方には爪のロウ付け時、石留時の大事な注意点でもあります。

爪先図00

まずは一番分かり易い爪の向きからです。これは見た目の美しさに影響を与える重要なポイントです。

大きく分けると対称性、大きさ、向きの3つになります。

次の要点は爪を横から見た時です。細かな隙間の話ですから肉眼では分からない方も見えますが、爪の向き以上に大事なポイントです。なぜなら石がしっかり留まっているかどうか、緩むかどうか、落ちるかどうかに係わってきます。しっかりと確認するべきです。

爪先図01

爪先が浮いているのは問答無用に駄目です。白城なものを引っ掛けます。タオルやストッキング等など。ご自身のだけでしたらまだしも、誰かの服を引っ掛けて破いてしまった場合は責任を取らなくてはなりません。冠婚葬祭時は特に服や着物も高額です。ご注意ください。

留まているように見えて駄目なのは爪先がチョンと触れているくらいで留まっている場合です。この場合石を上から押す力が加わると、反対側は石が持ち上がる方向の力が加わります。そうすると細い爪先は簡単に曲がってしまいも爪先が浮き上がります。すると石は緩みガタガタします。さらには爪先が浮いている訳ですから服などを引っ掛けます。検品時にはガタついていないため、合格してしまうという点も厄介なところです。

以前こんな特殊な留め方をしていると自慢気に書いてあった個人ブランドの方を見かけましたが、そもそもこの留め方は失敗作です。爪を曲げる時の厚みなどのコントロールを知らないから、爪を根元からぴったりくっつくように曲げる事ができないだけです。

爪留めは本来適切な厚みで曲げなくてはなりません。厚みが適切であればピタッと面でくっつくように留める事ができます。すると厚くやぼったい爪ではなく、一番スリムな爪留めにする事が出来ます。薄く小さい爪で最大効率を出せるわけです。厚くして丈夫に見せかけようとしても、爪先が浮いているようでは石の大きさに対して爪が大きすぎてバランスも悪く、美しさも半減します。

この爪の厚みは師匠に師事して様々な石の種類、石の厚さに応じた爪の厚みを実際に見せてもらい、自分で擦り、それが適切であるかどうかの確認をして頂く事をしっかりと経験してこなくては出来ません。独学ではそうとう難しい作業になります。

職人にとっては適切な厚みを知る事。これが爪留めが上手くなるために一番必要なポイントです。

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