嫌な予感が当たっていた

景色が最高なキャンプ場に向かっていた。
神秘的な雰囲気の湖の近くてテントが張れて、野生動物もすぐそこにいる。
車の横付けもできないし、サイトもフラットでは無いので中級者向けといった感じの場所。

到着して車を停めて降りた時になんだか嫌な感じがした。
なんとなく居心地が悪いのだ。
『ここに泊まるのなんだか気が進まないな』
そう思ってボーっとしていたら、夫はもう受付に向かっていた。

受付を終えて車から荷物を下そうと準備していたら、どこからか嫌な圧を感じた。
目に入ってきたのは全身カーキ色で統一した服装をしている夫婦だった。夫婦ではなくカップルかもしれないし、友人同志かもしれないけれど、40〜50代くらいの男女2人組み。

その2人組も荷物を下ろす作業をしていたのだけど、とにかく圧が凄い。
まるで夜逃げ屋のプロのようなキビキビとした動きで、荷物の運搬作業をしている。

その動きが視界にチラつきながらも荷物を運ぶ準備をした。
そうしながら『帰りたい』『ここでキャンプしたくないな』そう思っていた。
自分でもどうしてそう思うのかわからなかったのだけど、なんだかただただ憂鬱だったのだ。

ここまで書いてみて客観的に見てみると、
「え?なんで?」となる。たいていの人もそう思うだろう。
「キビキビと荷物を運ぶ人がそばに居ただけで帰りたいの?」
ごもっとも。

気が乗らない私の動きは悪く、汗をかきながら荷物を運んだり、設営作業をしていた夫をイライラさせてしまっていた。
「ERIも手伝ってよ」
あまりにボーっとして、夫にちょっと怒られる。

もともと設営しようと思っていた場所が、倒木の危険性がある木の真下だと気付き移動する事にした。

その時あの2人組は湖がよく見えそうな場所、私達の斜め前の方にテントを張り作業をしていた。

場所を変えて設営している時もなんだか嫌な圧を感じていた。

無事設営を終えて一息ついたが、嫌な感じが一向に消えなかった。
私はひたすらテントの中に引きこもって過ごした。

私達より後にどんどんキャンパーがやってきて、その日はかなり混雑していて四方八方にテントが立っている。

ずっとテンションが上がらなかったけれど、ご飯は美味しく食べて無事世を明かして帰路についた。

数日後に我が家で恒例になっているキャンプの反省会、思い出話し、今後のプランなんかを夫と話している時に、さりげなくその事を話してみた。

最初から嫌な感じがあった。
近くにいた2人組の女の人が怖かった。

そうすると夫から思いがけない話しを聞いた。

「あの女の人、うちらがテント張る場所変えた時に文句言ってたんだよ。『そこに建てたらまわって行かなきゃならなくなる』って。その時ERIに話したらテンション下がると思って言わなかった。」

そっか、そうだったんだ、やっぱりなと思った。

最初から感じていたのは、あのカップルの女性からの敵意だった。

私は敵意を向けられた事が人生でほとんど無い。以前書いたYouTubeでのコメントやもっと以前に書いていたブログのコメント欄などの、顔が見えない相手からはあっても、リアルで大人になってからはそういった経験が無い。
いや、そうそう人からの敵意なんて向けられる事は、私以外の人も少ないだろうけれど。

だからものすごく居心地が悪かった。
睨まれてる気がしたのは、やはり気のせいではなかったんだ。

その女の人の気持ちはわからないけれど、もしかすると神秘的な湖の一見穴場的な雰囲気のあるキャンプ場を1人占めしたかったのかな。

後から私達以外にも大勢のキャンパーが来て、騒ぐ人もいたし、夜遅く来て早朝帰るマナー違反のキャンパーもいたし、私達の影が薄くなったせいか後半には嫌な感じが消えていたと思う。私達への敵意が薄くなっていたのかも。

この話しを文章にしてみて読み返してみると、この感じを説明するのがいかに難しいかよくわかる。

嫌な予感、嫌な雰囲気、居心地の悪さ。

こういったものを感じ取ってしまいやすいのも、HSPの特徴らしい。

親しくない人、すれ違っただけの人でも
『あの人苦手だ』と思う事がある。
私がそう思っているのと同じく、その相手も私とすれ違って
「あの人苦手だ」と思っているのかもしれないな。

今度また嫌な感じを感じたら、すぐに夫と話し合って対策をしてみようと思う。
距離を取るとか、場所を変えるとか。
楽しく過ごす努力をする事も大切だと感じた出来事だった。

本当は嫌な気持ちにならないように思考を変えていけたらいいのだろう。
だけどそれはまだまだ難しい。
できないうちは、気持ちよく過ごすためには人をどうこう言うのではなく、自分が動けばいいのだと思う。

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