2024/06/17 「おまわりさんの日」 

「おまわりさんって、回る人? 警察官とは別?」

同居人が不思議そうに首を傾げてテレビを指さした。ほとんど使ってないテレビに、警察の仕事の番組が映っている。

「うーん。そっちの国にはなかったの? 地域を見回る人みたいな。落とし物を届けたり、道案内してくれたり……警察官と同じだから、事件が起きたら行く事もあるかもしれないけど、捜査はしない人っていうか……」

言いながらも自信がない。改めて聞かれると説明が難しいことに気が付いた。

「案内所の人? 落し物はその施設の人に届けるし、誰の場所でもない公道なら、落とした人の責任だから貰うよね」

さらりと不穏な言葉が飛び出してる。価値観の差なのだろうか。その後も私のつたない知識で説明してみたけれど、上手くは伝わらなかった。


数日後、同居人が「わかったよ。おまわりさん」といってきた。

「自衛隊だね」

「それは違う」
「あ。自治体……ううん。自衛団かな。そういうものって説明してあったよ」

自衛団。その地域の人たちが自分の地域を守るために作る組織だったろうか……間違っていないような気もする。でも……。

同居人がワクワクと私を見ている。

「うん。たぶん、そんな感じかな」
クイズが解けた時のような嬉しそうな顔で同居人は「わかったー」と喜んでいた。

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