2024/08/07 帰省子(きせいし)

「お盆ってそっちもあるの? お家に帰る?」
友人がそう聞いてくるので、『お盆はない』『秋には一度戻ってみる』と返した。

「そうだよねぇ。死者が帰って来るのはハロウィンだっけ?」
「それも少し違う。元々はその土地ごとにそういう風習があったけど、秋ごろというぐらいで日付までは決まってなかった。最近はハロウィンに合わせてるところが多いけど」
バレンタインみたいなものだねと友人が笑う。

「君は帰るの?」
「ここが実家」
友人は僅かに顔を曇らせる。

「父方の方は?」
「向こうはねぇ。すごいド田舎で女はおさんどんだから……母は一度でウンザリして二度と行かなかった。父は私だけを連れて行ったけど、でも私もお年頃になったら、立って働けって……まだ12・3ぐらいだったけど子供じゃないだろっていう扱いだった。それにうんざりして行かなくなったんだよね」

「オサンドン?」
「給仕係? 料理作ったり運んだり、お酒のお酌したり、空のお皿を片付けたり、男たちの皿が空になってたら取ってあげたり」
「???」

意味が分からない。男たちは障がい者か何かなのだろうか。
私の顔を見て友人は笑った。
「わかんないよねぇ。うん。それでいいと思うんだ」

古い風習だと友人は笑う。この国の風習はわからない。

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