2024/03/28 菫野(すみれの)

目の前に広がる紫の色に思わず、感嘆の声が上がる。

「うわぁお。むらさきーーー」
子供のような声でそう叫んだのは同居人の方だった。私の小さな感嘆の声は消えてしまう。

すみれですよ。今年は一面に植えてみたんです」

説明を聞きながら、来年はどんな花を植えるつもりなのかと気になる。
「来年ですか? 放置ですかね。菫がまた出てくるかもしれませんが」

聞けば花を植えるのは数年ごとだという。
「手がかかりますから」
その言葉に深く頷いてしまった。

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