2024/07/19 「女性大臣の日」

「女性大臣の日? 男性大臣の日ではなくて?」
「そっちは逆転してるんだっけ? この国は女性大臣の方が珍しいのよ」

「おお。珍しい男性が優秀な国」
同居人が真面目にそう言った。私は首をかしげる。
「男性も女性も能力は変わらないでしょ。女性優位になった国は今は男性が優秀だって言うんだし」
「いやいや。男性に重要な役職が回って来るには、よっぽど努力しないと。僕は無理だったから、こうやって遊び惚けてる」

その割には数ヶ国語ができて、私より頭がよさそうだ。

「男性が優秀かどうかは知らないけど、大学院に進むのはほとんどが男性らしいね。女性は妊娠したらアウトだから、そういう手を使って邪魔をする手段があるとかないとか」

「? 子供が要らないならピルを飲むなり、降ろすなり手段はありそうだけど」
同居人は心底不思議そうな顔をした。産むか産まないかを決める権利は女性側にあると言いたそうだ。
「だから、女性一人で勝手に殺さないように男の契約書がいるの。男が逃げたら、産むしかないし、養育費もなく子供を育てるには学業なんてできないってこと」

「古代人ですか??」
あまりにも突飛な言葉が同居人の口から飛び出して、飲みかけたコーヒーを吹いてしまった。

が「レイシスト……えっと。男が偉いっていう古代の文化の……」
私も彼に合わせて説明しようとして『古代の文化』になってしまった。

「男性差別の逆のですね。だったら、この国の女性たちは僕みたいな環境にいるんだ」
それもどうかと思ったけれど、人間は半分に優位が与えられ、残り半分に劣位を与えてしまう生き物なのかもしれない。

「そっちも越えられない壁をガラスの天井っていうの?」
「鋼鉄の天井」

中々ハードな天井に仕上がってるようだ。

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