2024/02/08 「つばきの日」
すとん。
小さな首が落ちた。赤い髪飾りを付けた幼子の首……のように見えた。
視界の端で見てると、それは不気味でもある。
「不吉な花」
黒い着物の少女の呟きは庭の花よりも不吉に聞こえる。
「あなたの着物も似たようなものでは」
彼女の言葉にそう返すと、キッと睨まれる。黒地に髑髏の絵が入った着物は彼女自身が地獄の使者のようにも見える。
「父様のお帰りはいつかしら」
彼女は庭の椿に聞くように声を響かせた。
私は答えない。椿も答えない。
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