2024/06/28 日照雨(そばえ)

「狐の嫁入りだね」

青空から落ちてくる雫を掌で受け止めながら、彼はそう言った。キラキラとした大嫌いな髪は、こんな天気にはドキっとするくらい綺麗に見える。

「で、そろそろ、結婚しない?」

彼がにっと笑って、いつもの冗談を言う。
「あんたが、女になったらね」
私も冗談で返す。

「それはさぁ……」
言いかけた彼の口が閉じた。


「狐だったらよかったね」
冗談で返してくると思ったのに、彼があまりにも傷ついた顔をするので、そう言ってしまった。

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