2024/01/27 獏の枕(ばくのまくら)

「これで、悪夢は終わりだよ」
お兄ちゃんがそう言ってくれたのは一枚の不思議な絵だった。四つ足の動物で鼻が長いように見えるけど、鼻なのかは分からない。耳は小さいので象ではない。
「なにこれ?」
見たことのない動物だ。
「バクと言って、悪夢を食べるんだ」
「本当?」
「枕の下に入れて眠ると良いよ」

私は半信半疑で頷いて、それを枕の下に入れた。

けれど、今夜も悪夢はやって来た。
お兄ちゃんはうそつきだ。悪夢は消えない。

だから、自分で悪夢を消すことにした。

朝はメイドたちの悲鳴で目が覚めた。お兄ちゃんが死んだのだという。
私はバクの絵に触れる。

「悪夢を終わらせてくれてありがとう」

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