2024/07/31 「蓄音機の日」
クラッシックな音楽がリビングに流れている。有名な曲だけれど曲名は知らない。
不思議に思いながらリビングを覗くと見慣れない機械が置いてある。蓄音機だ。傍に同居人がうっとりとソファーでくつろいでいる。
「珍しいね。レコード、どこにあったの?」
「送ってもらった。蓄音機と一緒に」
昨日、大きな箱が届いたのはこれだったのかと思いながら、私もコーヒーを手にソファーに座る。
レコードが終わると、同居人が思い出話をしてくれた。この蓄音機は祖父が気に入っていたもので、小さい頃は毎日のように聞いていたと。
「音が違うんだ。デジタルよりもレコードの音の方がずっと深い」
音に関心のない私には首を傾げるしかない。何が違うのかなんてさっぱりわからない。
「そうなんだ」
「……興味、なさそうだね」
同居人が笑う。私は黙って頷く。
「もう一度、聞いていい?」
「どうぞ」
同居人が新しいレコードを取り出して乗せた。曲名を聞こうかと思ったけど、覚えられそうにないし言われても分からないのでやめた。
音が鳴る前に同居人が曲名をいってきたけど、やはり覚えられない。曲が鳴りだして、聞いたことがあるものだと思った。
音の差はわからない。
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