2024/03/15 「オリーブの日」
ピザに丸い輪切りの変わったものが乗っている。思わず匂いを嗅ぐ。ピザの香りしかしない。
「何してるの?」
「これ、何かなと思って」
「オリーブ。食べたことないの?」
「ない」
私の言葉に友人は「じゃぁ。初だね。食べてみて」とさっそくピザを切り分けて、私に渡してくれた。ナッツみたいなものだろうかと思って口に入れる。
あ……しまった。と思った。おいしくない。輪切りなので量は多くはないけど、飲み込むまでしばらく考えてしまった。ピザはおいしいし、ソースの味で多少はごまかせる。でも、オリーブの味はもうごめんだ。
「どう?どう?」
友人が嬉々とした顔で聞いてくる。
「えっと。あー」
私の言葉に友人の顔が曇る。
「無理しなくていいよ」
友人はそう言うけど、手にした分のピザくらいは食べないと申し訳ない気がしてしまう。それに、手にした分ぐらいはなんとか食べきることができる……ハズだ。
友人はピザを口に入れて、美味しそうに食べた。
私は何とか一切れ分のピザを口に押し込んで「ごめん」とだけ返した。
オリーブオイルもそれほど好きではない。元々、幼少期にはなかった食材だからかもしれないと思う。
「大丈夫。僕もわかめはダメだし。食べ物の好みはしょうがない」
「それは、分解できないからだろ」
「だったら、君がオリーブを食べれないのも分解できないからかも。まだ、解明されてないだけでさ。その場所に生きてる人特有の何かみたいなものはあると思うよ」
同じ人間という枠で区切るには細かい違いが多すぎると友人は笑う。
オリーブの花言葉は『平和』
友人のようにいろんなものを理解しようとする姿勢が平和につながるのかもしれない。
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