2024/03/17　「セントパトリックスデー」

同居人がド派手な緑のいでたちで部屋から出てきた。

「それ、あれ……えっと。おさるのアニメのおじさんの緑バージョンみたいだね」
思わずそう言ってしまったが、しまったかなとも思う。意味があってそうしてるのなら、わざわざ指摘するのは失礼だ。けれど同居人はにっこり笑って答えた。

「今日はおまつりなんだよ。緑の祭り。聖人パトリックの日。知らない？」
私はブンブンと首を横に振る。よく見ると、単色と思った緑のワンピースにクローバーの模様が入っている。

「シャムロック……あー。三つ葉だっけ？がシンボルなんだ」
ペラリとワンピースの裾を少し持ち上げて、模様が見える？と聞いてきた。私は首を縦に振った。

「だから、緑なわけね。……でさ、もう一つ聞いて良い？」
「うん。何？」
「なんで、ワンピース？」

友人は首を傾げる。
「なんでって、なんで？」
逆に聞き返されてしまった。

「いつもはズボン、だったから……」
ワンピースを着てる姿を見たことがないというのもあるが、男性がワンピースというのも……いや。彼の国ではそうなのだろうか？

「かっこいいでしょ？」

私たちの間に理解しがたい空気が漂う。おもわず「そうだね」と返してしまった。同居人はそのまま出かけたが、私の中の疑問符は消えないままだった。