2024/02/25 春の霰(はるのあられ)
コツコツと硬い音を立てて、それは落ちてきた。雨より硬いその塊に葉っぱが慌てたようにブルブルと震えている。
私たちも慌てて東屋へと走り込む。
「雪じゃないのか。でも、これだとすぐ止みそう」
友人が空を見上げてそう言うが、霰が雨に変わる可能性だってある。でも、空には青空が見えている部分もあるのですぐ止みそうだ。
ふと視界の端にキラキラしたものが写った。友人の髪にいくつか氷の粒が絡まっている。光って綺麗だと思ってしまう。
「どうかした?」
「ううん」
私は慌てて空へと視線を戻す。
もう少しだけ霰が降ってほしい。春の空にそう願う。
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