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人を最短で健康に!いち早く正しいを届けるには?【必要な学問】

誰しも、いち早く、健康になりたい。健康になってもらいたい。カッコよくなりたい。美しくなりたい。カッコよくさせたい。美しくさせたい。強くなりたい。強くなってほしい。などなど。

健康、運動、スポーツに関わる人にとって上記の目的、目標は常に感じているところですよね。

でもどうしたらいいのかわからない。

中々結果がでない。等々

そんな時にいち早く正しい結果を出すための学問が「疫学」です。

「疫学」それは、人々に健康を届けるための最速の学問です。

なんやら難しそうだなーと思われた方。何も難しいことはありません。むしろ普通の研究者が対象とする分野と比べて最もシンプルです。

簡単に申しあげると「疫学」は、集団を対象として疾病(スポーツ選手でいえば怪我や筋トレでいえば筋力の向上)の発生原因の特定、およびその予防策(改善、向上案)をいち早く提示する学問。(疫学を知れば、いまみなさんが臨床で怪我を治したい、筋力を増やしたい、健康になりたい、という原因や改善、向上策を知りたいという問いに対していち早く行動を起こせる!)
残念ながら、集団を対象とするため統計学が常についてまわりますが。。

さて、それでは楽しい疫学の世界へ。

疫学の始まりは、1854年イギリスでの謎の感染症流行(ブロードストリート事件)の際になります。当時、医師であった疫学の祖と呼ばれるジョン・スノーは、イギリス、ロンドンで猛威を振るい何百人と死者を出している感染症(後のコレラ)の原因の特定と解決に乗り出しました。


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死亡者と地元住民の口コミからスノーは死亡場所と水源となっていた井戸の場所を地図上にプロットしました。そこから浮かび上がってきたのはある特定の井戸の周辺において死亡者が多数存在すること。(原因)有名な感染地図です。



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そこで、スノーは死亡者数が多数存在していた地域にある井戸の水源を停止するというソリューション(解決策)を提示しました。

すると、謎の感染症のパンデミックはピタッと停止。無事、ロンドンは地獄の淵を脱することができました。

後の30年後にコレラ菌が発見され、ブロードストリート事件もコレラであったことがわかりました。ジョン・スノーは、感染症の病態に関してのメカニズムは理解せずとも、原因を突き止め、そこに早急な解決策を提示したまさに疫学研究の祖と言えます。

日本においても、有名な疫学研究の祖がいます。高木兼寛という当時、海軍に所属していた医学博士でした。
江戸時代から明治時代にかけて日本では脚気が猛威を振るい1万人以上の死者を出す病となっていました。当時、海軍においても遠征航海中における脚気による死亡者が後を絶たない状況でした。一方、他国では脚気による死亡者はいない状況を知った高木は、航海中に出される食事の状況から洋食に解決の糸口があると考えました。高木は脚気の原因はタンパク質不足で、白米のみを食す日本人は、タンパク質が不足していて脚気になると仮説を立てました。そこで、解決策として、麦飯の導入と洋食の導入を行いました。すると前年は23.1%生じていた脚気が2%まで激減しました。(有名な海軍カレーは高木が脚気撲滅のために導入した食事)

後の40年後、当時、東京帝国大学の農学者であった鈴木梅太郎がビタミンB1(チアミン)を発見し、脚気の原因はビタミンB1の不足にあることを特定しました。

ジョン・スノー同様、高木もまた脚気の病態メカニズムは理解しておらず(仮説に関してはましては間違っていた)とも、脚気の解決に成功した疫学研究の祖である。

健康や運動、スポーツに関わる現場においてもこの疫学の考え方は非常に重要であると思います。
なぜ、ジョン・スノーや高木が疾病の撲滅に成功したのか。それは臨床現場での観察を怠らなかったから。臨床現場に出ているみなさんは誰よりもクライアントさん、選手、患者に近い存在。それはラボで常に実験器具やPCと向き合っている人とは違います。現場の観察からでしか見えてこない仮説とsolutionがあります。原因と結果の間に何があるのかというメカニズムは基礎研究者に任せておけばいいです。後の何十年後になっても。現場の人々が行うべきことはまさに疫学で、怪我を起こしている人がいる。ある怪我が多数起こっている。ある集団は筋力がすごく向上している。その状況の背景に何があるのか。(トレーニング量、トレーニング環境、トレーニング種目、栄養、睡眠...)それらの生データを現場を知る人間が観察に観察を重ね、臨床的仮説を立てる。そこからいち早くsolutionを提示して処方する。

エビデンスを理解して処方する上で疫学の考え方は外せません。ましてどんなにエビデンスを蓄積しても、その知識を臨床問題と照らし合わせながら良質な臨床仮説を立てられるか。エビデンスの蓄積がない人は、問題に対して観察ができていても、そこからの考察要素がなさ過ぎてしまって良質なソリューションの提示ができません。
みなさんの臨床現場に良質なソリューションを届けるためにもお役に立てるエビデンスの発信およびそれらの収集および現場での観察方法などご紹介していきます。

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