「成功者」って何を以って「成功者」なのですか

「成功者のメソッド」
「成功者の習慣」
「成功者のマインド」
といった感じで、巷には「成功者」という言葉が溢れていて、
成功者の云々を説くような動画や書籍もたくさんある。

昨日「成功者のモーニングルーティン」的な動画をたまたま観ていて、ふと「成功者は何を以って成功者とされるのだろう」という疑問が浮かんだ。

ビジネス本なんかに、枕詞のように「成功者」と付けられるのは、単純に
「3分でできる！」（本当は3分ではできないけれど）
「〇〇が10割！」（10割なわけないけど）
のように読者を惹きつけるためのキャッチコピーに過ぎなくて、そんなに深く考える必要もないのかもしれない。

でも、なんとなく私の体感では、世の中は「成功したか、そうでないか」という基準で人を分けているような感じがしなくもないし、「成功者になることが人生のゴール」と捉えている人は、少なくないような気がする。

世間的に言われる成功者って、
例えば、前澤さんとか、孫さんとか、amazonのジェフ・ベゾスとかが挙げられるのかな。
とにかく"仕事で大きな成果を上げて、たくさんのお金を手に入れた人"が成功者と言われている実感がある。

それに従えば、成功の定義は"仕事で大きな成果を上げて、たくさんのお金を手に入れること"となる。

でもそれって本当に成功していることになるのかは、私は疑問を感じざるを得ない。

例えば、仕事で大きな成果を出しているけれど、
家庭のことはほったらかしで、子どもの面倒を見ないという場合も、成功者と呼べるんでしょうか。

誰かから搾取したり、人に嫌な思いをさせてでも、たくさんのお金を稼いでいる人は、成功者と呼べるんでしょうか。

そもそもそういう人は成功者になれないんだよという声が聞こえてきそうだけど、現実的には十分あり得る話だと思う。

ここで、最初の疑問に立ち返る。
世の中で「成功者」と言われる人は、何を持って「成功者」とされているのだろう？

あれこれ言っている私も結局、成功したいかと言われたら、成功したいと答えてしまうと思うし、やはり「成功者のなんとか」みたいな本や動画は気になって見てしまうことも往々にしてあった。私も成功したいな〜と漠然と感じることもなくはなかった。
でもその時、じゃあそもそも成功ってなんなのってところまでは、考えが及んでいなかったと思う。

試しに「成功者」でググってみると、成功者の習慣、成功者はこんな人だ、こういうふうにしたら成功者になれるよなんて情報が山ほど出てくる。

でも、じゃあそもそも「成功」ってなんなのか。何をもって「成功」とするのか、というそもそもの定義についてはほぼ出てこない。
成功者について書かれた記事を読んでも、「事業が軌道に乗ったひと、お金をたくさん稼いでいる人、仕事で高い地位に昇進した人、こういう人が『成功者』である、ということは、もちろんみなさんご存知ですよね？それを前提にして『成功者』について話を進めていきますよ〜」というように決めつけられた上で話をされているように感じられる。

でも本当は「成功」の形だって人によって違うはずじゃないかと思う。

私なりの結論を述べれば、
自分が一番幸せだと思う状態であることが「成功」であると思う。
お金をたくさん稼ぐこと、仕事で大きな成果を出すことが、自分にとっての幸せの人は、それが達成できれば「成功者」。
仕事はほどほどに、家族とのコミュニケーションの時間を過ごすことが、自分にとっての幸せだという人は、それが達成できれば「成功者」。
毎日ちゃんと起きて、学校や仕事へ行って、帰ってお風呂に入っておいしいご飯を食べれればそれだけで幸せだという人は、それが達成できれば「成功者」。

「成功」したかどうかなんて、他人に決めつけられる筋合いはなくて、「あの人は成功した／していない」なんて言われても、それは言った本人の「成功」の基準に照らし合わせて判断されているに過ぎないと思う。
だから、巷に溢れる「成功者」になるためのなんたらは、あくまでその人が考える「成功者」であって、それが自分にとっての「成功者」定義とは異なるかもしれないということに、十分注意する必要があるのだと思う。

本当は、一人一人に幸せの形があって、その幸せの形から導き出される「成功」の形があって、それさえ実現することができれば、誰しも「成功者」になれるのではないかなと私は考えている。

私の分際でこんなことをいうのも生意気な感じがするけれど、本当に何にも考えないで生きていると、無意識に「成功」の定義を刷り込まれて、そうでない自分は「成功者」ではないと勝手に思い込んで、「成功者」ではないということは、自分は幸せではないと勝手に落ち込んで…という負のループの中に放り込まれてしまいそうな気がしてならない。

では私にとっての「成功」とはなんだろう、と言われると、すぐに答えは出なくて、ちょっと考える時間をください、となってしまう。
でも、私は世間的な「成功」を目指すつもりはないし、誰かが決めた成功ではなくて自分で定義した「成功」を実現する「成功者」でありたい。
世の中に溢れる「成功者」という言葉に、私は惑わされない。
これだけは自信を持って言える。