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いろいろなことがうまくいかない

部屋が汚い。
机にも床にも物や服や、卒論の参考文献なんかが散乱していて、まるで強盗が押し入ったかのようにぐちゃぐちゃとしている。
部屋の汚さがその時の心の荒れ具合を反映していると気づいたのは1ヶ月くらい前のこと。
最近は日常生活でうまくいかないことがあると、片付ける時間と手間が増えるだけで何も良いことがないとわかっていても、わざともっともっと部屋をぐちゃぐちゃにしたくなる衝動に駆られるようになった。

先月、22歳になった。
毎年、誕生日を迎え、歳を重ねると、「◯歳の抱負」みたいなことを考えて、新しい自分になろうとするし、なれる気もしてくるのだけれど、1週間もしたらそんなことすっかり忘れている。

22歳になってからの1ヶ月は本当にパッとしないなあという感じ。
パッとしないし、いろいろなことがうまくいかない。
毎日、その日を生きる楽しみを見つけるのに必死で、なんとか1日1日を"生き延びている"みたいだなとふと思う。
自分のだめな部分ばかりが目に付いて、将来に希望が持てなくて、一体これから何を目印にして生きればいいのかを模索し続けるような1ヶ月だった。

電車の到着時間を発車時間を勘違いして、発車直前になってこのままだと間に合わないことに気がついて猛ダッシュして、そんな自分が情けなくなった。
その時にホテルに財布を忘れたことに気がついて、より一層だめな気持ちになった。
申し込み期限がいつかをちゃんと確認していなくて、大事な抽選に応募し忘れて、自分のポンコツさ加減に腹が立った。
卒論のレジュメのバックアップも取らず、こまめに保存もしていなかったせいで、1日半コツコツ書き上げたデータが吹き飛んで、泣きそうになった。
それでもなんとか書き上げたレジュメは、抜け落ちていることが多すぎて、努力の甲斐も虚しく、ゼミの時間、無惨に散った。ただみんなの前で、自分の詰めの甘さと思考力の欠如を露呈させただけだった。もう自分でもどうすればいいのかわからない。
私より半年先に卒業する同期のみんなは、提出期限の今日までに、ちゃんと書き上げて提出したみたいだった。完成するかどうか、先生にとっても心配されていたあの子も、無事に書き終えたみたいだった。なんだかんだ、みんなやらなきゃいけないことはちゃんとやらなきゃいけない時までにこなしている。でも私はずっとずっと卒論の章立ての段階で止まったまんまで、そこから先に進めていない。
みんながちゃんとできていることが、どうして私にはできないんだろう。

就活もやろうやろうと思いながら全く何にも進んでいない。
やらないと進まないことはわかっているのに、どうしてやらないんだろう。自分でもわからない。
就活、一年前にも散々やっていたはずなのに、なんなら就活くらいしかやっていなかったのに、どうやってやればいいのか、何から始めたら良いのかわからなくなってしまった。完全に迷子。
私が話したいことは、きっと面接官が聞きたいことではない。
面接なんて、その人と会社との相性を確かめる、ただそれだけのものとわかっていても、どうしても自分のやってきたことを評価されているような、自分を素晴らしい人間だと偽らなければいけないような、そんな気持ちになってしまう。

私の周りの人たちは本当に優しくて、何かにつけて私のことをすごいねえらいねと褒めてくれる。この世で母親の次に尊敬している高校時代の友人が、私の生き方が好きだと言ってくれた。私よりもその友人の方がよほど私の人生を愛してくれていると思った。
でも自分の中で生まれるのは、私はみんなが思っているようなすごい人間ではないのになという思いばかり。
自分の将来がどうなるのか、不安で不安で仕方がない。何を糧に今生きているのかがわからない。
この半年間、こんな自分から抜け出すために、散々いろんなことをやってきたのに、結局一年前と同じ。見事に振り出しに戻った。やっぱり自分の根本の部分って変えることはできないのかなあ。
8月頃の、なんでもできるような自信に満ち溢れた私は、一体どこへ行ってしまったのか。

本当に最近は、生きる目的を紡ぎ出すことに必死になっている。
おいしいものを食べるとか、観たい映画をみるとか、大好きなアーティストのライブに行くとか、かわいい冬服を買うとか、お気に入りのマニキュアを塗るとか。
でも、どれも刹那的な快楽ばかりだなあと思う。2週間後には全て終わっている。そこから何を目指して生きていけばいいのか、想像することができないし、1ヶ月先の未来にワクワクもしない。
目の前のやらなきゃいけないことを、なんでやらなきゃいけないんだろうとかそういうことは考えずに、ただただ無心にこなすことくらいしか、今の私にできることがない。意味なんて考えた始めたものなら、いよいよ深みにはまって、本当に穴の中から抜け出せなくなってしまう。
もっと、持続的に私のことを突き動かしてくれるような、生きる意味なんて考える暇もないくらい、生きることに夢中にさせてくれるようなエンジンみたいなものを、今の私はものすごく欲している。

どうしてこういうふうになってしまったのか、考えてみるけれどずっとずっとわからなくて、なんだか心臓に暗幕をかけられているかのように心がずんと重たい。
部屋の掃除でもしたら、少しはマシになるんだろうか。
やだなあ、このまま年を越したくないなあ。

恐れ入ります。