見出し画像

バイナンス、米刑事訴訟の和解で43億ドル支払いへ──ジャオ氏は有罪認めてCEOを辞任

世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所であるバイナンス(Binance)は、制裁と送金に関する法律に違反したとして刑事告発されており、アメリカがこれまでに被告となった企業に支払わせた中で「最大規模の罰金」として、43億ドル(約6450億円、1ドル150円換算)を支払って和解することに同意した。

複数の容疑で罰金支払い

創設者のチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏は、個人に対してかけられた容疑についてシアトルで有罪を認め、5000万ドル(約75億円)の罰金を支払うとともにCEOを辞任することに同意した。アブダビの元規制当局者で、その後バイナンスの地域市場責任者を務めたリチャード・テン’(Richard Teng)氏がCEOを引き継ぐ。

21日に公開された裁判所への提出文書によると、バイナンスは適切なマネーロンダリング対策プログラムの維持を怠り、無許可の送金事業を運営し、制裁法に違反した容疑で提訴された。

別の提出書類によると、ジャオ氏は銀行秘密法に違反し、金融機関を違反させた容疑をめぐって罪を認めた。司法省によると、同氏の罰金は商品先物取引委員会(CFTC)への未払い額に充当されるという。

メリック・ガーランド(Merrick Garland)司法長官は21日の記者会見で、「バイナンスの従業員は、同社が制裁対象国の何千人ものユーザーにサービスを提供していることを把握し、議論を行っており、かつアメリカのユーザーと制裁対象国のユーザーの間の取引を促進することはアメリカの法律に違反することを知っていた。しかし、それでも彼らはそうしたのだ」と述べた。

ガーランド長官によると、バイナンスが支払うことになる43億ドルは、被告となった企業に支払わせた罰金としては過去最高額の一つだという。

これとは別に、財務省とCFTCはバイナンスとの独自の和解を発表した。ジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官は、バイナンスと同省のマネーロンダリング・制裁監視機関である外国資産管理局(OFAC)との和解は財務省史上最大規模だったと指摘した。

コンプライアンス監視者も任命

有罪答弁の条件に基づき、バイナンスは罰金に加えて独立したコンプライアンス監視者を3年間任命し、コンプライアンスの取り組みを米国政府に報告する必要がある。ジャオ氏は、バイナンスの「現在および将来の運営や管理への関与」を禁じられているが、その禁止措置は監視者が任命されてから3年後に終了する。

対バイナンス訴訟の解決は、破綻した暗号資産取引所FTXの創設者サム・バンクマン-フリード(Sam Bankman-Fried)氏がFTXに関連した詐欺罪と共謀罪で有罪判決を受けてからわずか数週間後に行われたもので、アメリカ政府が大手暗号資産事業者に対して大きな勝利を収めた新たな事例となった。

機密扱いではない提出書類によると、ジャオ氏はアメリカの銀行規制の遵守よりも「バイナンスの成長、市場シェア、利益を優先した」という。文書には、同氏が従業員に対し、「許可を得るよりも許しを乞うほうが良い」と語ったと記載されている。その考え方は、同氏がアメリカの「グレーゾーン」と呼んだ部分でのバイナンスの運営に浸透していた。バイナンスがユーザーに関する「本人確認(KYC)」情報を収集しないように同氏が取り計らったのは、それがバイナンスの成長と魅力を阻害すると考えたからだ。

こうした過失により、バイナンスは制裁規定を含む複数の米国法に違反するリスクにさらされている。裁判所への提出書類によると、ジャオ氏のスタッフは、バイナンスが制裁対象国のユーザーにサービスを提供しているとジャオ氏に警告していたという。

バイナンスの反応

バイナンスはブログ投稿で、名前を挙げたさまざまな機関との「解決」に至ったことを認めた上で、バイナンスは過去数年間再編に取り組んできたとし、「コンプライアンスの深い経験を持つ新しいリーダーシップ」に言及。「今後50年間の基礎を築く中で、バイナンスがより強力な企業として浮上すると確信している」と表明した。

新しいCEOであるテン氏はX(旧ツイッター)、バイナンスには依然として約1億5000万人のユーザーと数千人の従業員がいると指摘。「私の焦点は次のことにある。1)企業の財務健全性や安心、安全に自信を持ち続けてもいいとユーザーを安心させること、2)重要な消費者保護を提供しながらイノベーションを促進する世界規模での高い基準を維持するために規制当局と協力すること、3)パートナーと協力してWeb3の成長とアダプション(採用)を促進することだ」と述べた。

ジャオ氏は、パッシブ投資に関わったり、さまざまなプロジェクトで少数株主になったりするかもしれないし、分散型金融(DeFi)にもっと目を向けるかもしれないと語った。

暗号資産・DeFi企業へのメッセージ

司法省は21日午前、ガーランド司法省長官、イエレン財務省長官、リサ・モナコ(Lisa Monaco)司法省副長官、CFTCのロスティン・ベーナム(Rostin Behnam)委員長とともに、記者会見で「重大な暗号資産の執行措置」とされる内容を発表すると発表した。モナコ副長官は記者会見で、この日の行動が「暗号資産企業とDeFi企業に対して間違えようのないメッセージを送った」とコメントした。

当局者らはそれぞれ、マネーロンダリング対策の不十分さを含むバイナンスの違反の疑いに言及。「バイナンスはアメリカの顧客とのビジネスを構築してきた5年間で、制裁対象国や個人が関わる10億ドル(約1500億円)近くの違法決済を可能にした」と指摘した。

免責事項 : 本サイトは当ページのいかなるコンテンツや製品も推奨していない。本サイトは世界中他言語グローバルブロックチェーンサイトから引用したすべての重要情報を提供することを目的にしています。読者は上述の内容に関係したあらゆる行動をとる前に独自の調査を行い、自身の決断については全責任を負わねばならない。また、当記事は投資や金融商品購入のアドバイスではない。内容を参考としてご自由にご利用ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?