見出し画像

国道沿いのノスタルジー

大学卒業までずっと実家で生活してきました。
私の生まれは山の中畑の中にあって、食材以外の買い物するってなると一時間くらい車を走らせて峠を越えないと何もないところです。

昨年社会人になって、初めて一人暮らしをしました。

オフィスビルの間に挟まれていると、田舎の風景を懐かしく感じます。
街中には地下鉄と電車とバスの路線図が網目状になっていて、どこに行くにも身一つで大丈夫。車で峠越えなんてしなくてもよい環境です。

上京してすぐの頃は、てっきり田んぼを見て森を見て山を見て懐かしくなるんだろうなって思ってました。おおよその人が想像する「田舎」の風景が、きっと自分の心を一番揺さぶるだろう、と。


でも、私が一番懐かしさを感じたのは、国道沿いのチェーン店。

片道2車線の国道沿いに立ち並ぶチェーン店。
スーツ店とか、ラーメン店とか、よくある街並み。
国道沿いってどこの地でも大きな差はないことを一昨日始めて知りました。

一時間、一時間車を走らせれば帰れる。
買い物帰り、父や母が運転する車の後部座席に座って買い物袋が崩れないよう支えながら、特に大した話もなく、流れる国道沿いの街並みを眺めて一時間。運転を任せきりにして、うたたねをしているとあっという間についている我が家。一時間で、帰れるところにいた。

私はいま、一時間で帰れない土地にいる。

国道沿いを走るバスに乗りながら、そんなことを思った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?